800点超の原画をレタッチ&合成&管理する
編集部サイドのふわっとした意向を現場に伝え、すべての理不尽を引き受けるのが、印刷会社の営業担当だ。図書印刷の杉山さんは深い漫画愛に加え、的確な進行管理&豊富な印刷知識で、プロジェクト全体を支え続けた。
杉山:原画は1枚ずつ取扱厳重注意で作業を進める必要があるのですが、なにしろ850点以上! 編集部さんとの間を台車で何度も往復しました(笑)。色校では、細部にわたり赤字でご指示があり、原画と見比べながら色の方向性を探ったり、どのように修正を進めるか現場と打合せを重ねました。最後の最後、デザイナーさんと編集さんに工場へ印刷立会いに来ていただき、ご確認OKをいただいた時には本当にホッとしました!
デビュー直後の原画は画用紙に小さく描かれたものだが、時代を経るとキャンソンボードなどに描かれた巨大で重い原画も登場。スキャンでは品質がばらけてしまうので、全点撮影し、特殊なインキセットに合わせ、Photoshopで1点ずつチャンネルを分けて分解。合わせて、本格的なデザイン作業がはじまるまえに、原画の修復も進行させておく必要がある。
栗原:経年劣化してしまった原画を再生するのに苦労しました…。用紙が茶色く古びてしまった部分や、カラートーンの浮き・割れなどの修正は特殊な画稿処理が必要で、想定より作業時間がかなりかかってしまいましたね。
真夏の炎天下、チーム文系が原画を担いで右往左往している間に、テスト印刷は順調に進行。校正確認の日がやってきたころには、秋の気配が漂っていた。