――名久井さん、今日の撮影中ずっと画集を持っていてくださいましたが(笑)、ご自身でお気に入りポイントはありますか?
名久井 私は、パカッと開く仕様が気に入っていますね。
くらもち 私のお友達も「開いてみました」とメールをくれましたよ(笑)。このページを開いてみたくなります。
―――『海の天辺』のこのイラストをできるだけ大きく収録したい、ということで名久井さんと図書印刷さんが仕様をきめたそうです。チップボール(板紙の一種)を使った本表紙も面白いですね。
名久井 くらもち先生の作品は、ファンなら文字だけでも絵が見えてくるんですよね。だから、画集だけどあえてこのデザインをやりたかったんです。
くらもち 私、紙のグレーの色味に蛍光ピンクの組み合わせるのが好きなんですよ。名久井さんは好みのものを作ってくれるというより、新しい好みを作ってくれますね。
名久井 全ページをこのザラ紙に刷ってもかわいいですよね。画集としてはダメだけど(笑)。
くらもち それ、面白いね(笑)。でも、この本文用紙の手触りも好きです。持った感じがソフトですよね。
名久井 これは日本製紙の紙ですよ。くらもち先生は日本製紙の紙じゃないと!
くらもち なるほど。これはきっと父もよろこんでいるんじゃないかな…(注:くらもち先生のお父様は日本製紙勤務。『いろはにこんぺいと』のアパートも、かつて駒込にあった製紙会社の社宅がモデルだ)
――くらもち先生は過去にも何冊か画集やムックが出ていて、どれも素晴らしいので、差別化が難しかった、と担当編集のさっほーさんが仰っていましたが、いかがですか?
くらもち 絵は変わっていないので、同じになってもおかしくないのに、一切そういう声を聞いてないんですよ。過去の本ももちろん好きですが、これは本当に別物になっていますね。「お買い得」という声を聞いたとき、本当にうれしかったです(笑)。