Ⅳ期のみどころ・その1 展覧会直前に発見された、「ショパン」と「蘭丸団」の原画

『海の天辺』、『千花ちゃんちはふつう』など、大判名画が目白押し! くらもちふさこ展第IV期アーカイブ_1
『いつもポケットにショパン』扉(撮影:細川葉子) ⓒくらもちふさこ/集英社

Ⅳ期展では、季晋ちゃんのまっすぐなまなざしが印象的な『いつもポケットにショパン』のカラー扉と、1985年に発売されたくらもちふさこ特集ムック『くらもちふさこの本』のために描きおろされた蘭丸団大集合のピンナップポスターが展示された。この2枚は、画集『THEくらもちふさこ』に掲載された、聖千秋先生との対談翌日にくらもち先生のアトリエで発見されたそう! 別冊マーガレットで活躍され、今では「ぷーちゃん」「ちーちゃん」と呼び合う大親友のお2人だが、聖先生は「蘭丸団・佐藤ちゃん沼」にハマり、初対面では挙動不審になってしまった、というエピソードをうかがった翌日のできごとだっただけに、くらもち先生も驚きを隠せなかったとか…。

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『くらもちふさこの本』口絵・蘭丸団ポスター(撮影:細川葉子) ⓒくらもちふさこ/集英社
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『THEくらもちふさこ』対談より。軽妙な仲良しトークは必読 ⓒくらもちふさこ/集英社

Ⅳ期の見どころ・その2 『海の天辺』『A-Girl』『千花ちゃん』…アナログ画材による超絶技巧原画

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『千花ちゃんちはふつう』ピンナップ扉(撮影:細川葉子) ⓒくらもちふさこ/集英社

『千花ちゃんちはふつう』連載第1回扉は、見開き+折り返しつきの3p構成。白を基調にした千花ちゃんとは対象的に、結婚したばかりの両親と義理の兄が食卓を囲む様子をカラートーンを駆使して背景化している。蛍光オレンジとピンクの水玉模様のような、水の飛び散ったような部分も、実は透明なフィルムにインクを落として制作したオリジナルの“トーン”風のもの。なんと、スクリーントーンの老舗・アイシーさんも、くらもち先生と同じく50周年。アナログならではの重ね技・立体感がポップさの中にも温かさが感じられる。

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『A-Girl』扉。(撮影:細川葉子) ⓒくらもちふさこ/集英社

『A-Girl』のイラストには、シルエットとしてグリーンの水玉のトーンをあしらっている。このトーンが経年劣化ではがれてしまったため、展示直前にくらもち先生がご自身で修復作業を行った。

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トーンを一瞬だけはがした貴重な瞬間(撮影:細川葉子) ⓒくらもちふさこ/集英社
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『海の天辺』1~4巻カバー原画(撮影:細川葉子) ⓒくらもちふさこ/集英社

一方、『海の天辺』全4巻の表紙を一度に描いたこちらのカラーは、トーンではなくエアブラシを駆使した名画of名画。水族館の中を泳ぐ人魚姿のシーナ(中学生)を見つめるシルエットの河野(中学教師)......どんな表情をしているのか、見えないだけに妄想がかきたてられる。会場でも、印刷されたカバーや画集と見比べながら、じっくり鑑賞されている方が多かったそう。

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『海の天辺』1~4巻カバー(撮影:細川葉子)印刷物ではピンクを強調し、シーナの愛らしさをより印象的に見せている ⓒくらもちふさこ/集英社