今までの「売れる」はテレビに出ることだったけど…

――これまでのインタビューを通して「女芸人」だからこそ、芸能界(お笑いの世界)で生き残る難しさはあると思いますか?

これは女性芸人に関わらず、テレビで活躍する女性たち全てに共通することかもしれませんが、テレビによってスターになった女性芸人は「点」で置かれて、孤独を感じている人が多いのだなと連載を進めていくうちに気づきました。
圧倒的にロールモデルが少ないっていうのもありますよね。結婚すれば主婦タレントになり、子供を産めばママタレントに……なかなか「女芸人」のままではいさせてもらえない。

インタビューでも女性芸人は自分の「肩書き」にすごく敏感で、「自分は芸人とは呼べないのではないか」「自分にはタレントの能力はない」と自問自答する人が多かったです。一人異質だったのは上沼恵美子さんで、肩書きなんて記号みたいなもんで、なんでもいいと。

「生き残る」という意味をどう捉えるかによるんですけど、順応性と真面目さ、そして若干の自己肯定の低さを持つ彼女たちを、テレビたちは離さない。どちらかといえばそういう状況を「見限って去る」女性芸人の方が多いと思います。

――自分から離れていくと。

対談でもそれは加納さんが話していました。「いつか売れる」という浅草キッド的美学を持っている女性芸人は少ないと。
でもそれも変わっていくと思います。それは「売れる」という考え方が変わってきてることもある。今までの「売れる」はテレビがかなりの部分をコントロールしていましたが、そうではなくなってきているので。
芸人がテレビから自分たちに主体性を取り戻しているのかもしれません。