今春3つの局が相次いでBS放送を開始

最近、皆さんはどんなタイミングでBSにチャンネルを合わせただろうか。

大河ドラマや朝ドラを地上波よりちょっと早く見たい時。あるいはオリンピックや相撲など地上波ではやっていないスポーツ中継を楽しみたい時。そうでなければ、今の時間帯、地上波マジで面白そうな番組やってないんですけど、でもネトフリがっつり見るほど時間もないし、なんか気まぐれにBSボタン押してみますか的な感じではなかろうか。そして民放のBS局っていつ見ても通販じゃない? そんなイメージを持っているのではないだろうか。

いやいや、今こそBSが熱いでしょというのが今回言いたいことである。

おりしも3月下旬にはBSよしもと、BS松竹東急、BS Japanextと新規の無料放送BS局が相次いで開局。BS番組のバリエーションが大きく広がりつつある今だからこそ、BSの魅力を改めて検証したい。

さて、ここにちょうど30年前、1992年2月の地上波テレビ番組表がある。
30年前と言われてもピンとこないかもしれないが、月曜に『だいじょうぶだぁ』火曜に『ギミア・ぶれいく』水曜は『やまかつ』木曜は『愛という名のもとに』金曜は『ものまね珍坊』土曜の夜には『ねるとん』と『ギルガメ』がやっていて日曜は『ごっつ』。そんな感じの頃である。平成以後生まれ置いてきぼりの略称の嵐。ああ、こちとら団塊ジュニアさ。そして金曜の代表番組は『ものまね珍坊』で良かったのか。

で、30年前のテレビ番組表を眺めていると、今のテレビとはだいぶ違うなあと感じることがいくつかある。

30年前の地上波に君臨した時代劇

まずゴールデンタイムに時代劇が異常に多い。

月曜20時『大岡越前』(TBS)、火曜20時『八百八町夢日記』(日テレ)、火曜21時『必殺仕事人』(テレ朝)、水曜20時『鬼平犯科帳』(フジ)、木曜20時『名奉行 遠山の金さん』(テレ朝)、金曜21時『大江戸捜査網』(テレ東)、土曜20時『暴れん坊将軍』(テレ朝)、そして日曜20時は大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』(NHK)と、見事に毎日各局で時代劇をやっていた。

現在、地上波民放でレギュラーの時代劇はゼロである。もちろんNHK大河ドラマは続いているが、それ以外でゴールデンタイムにやっているまげものはマジでゼロだ。
2011年の『水戸黄門』終了以来、地上波民放の時代劇の火は消えたままなのである。

余談だが、今、テレビ朝日では平日朝4時になぜか『暴れん坊将軍』が再放送されている。3時くらいまではバラバラ大作戦で実験的若者向けバラエティ、4時までは通販、5時からは『グッド!モーニング』なので、この超隙間の1時間だけなぜか時代劇枠なのである。
俗に、ご年配の方は時代劇好きでかつ朝も早いとは言われるが、4時は早すぎないだろうか。夏至でも日の出近くだ。

話を戻して30年前。次に気付くのは各局映画放送の枠があること。

『水曜ロードショー』(TBS)、『木曜洋画劇場』(テレ東)、『金曜ロードショー』(日テレ)、『ゴールデン洋画劇場』(フジ)、『日曜洋画劇場』(テレ朝)と、これまた各局ほぼ毎日やっている。このうち、今残っているのは金ローだけである。

当然だが30年前にはNetflixやアマプラはない。しかしレンタルビデオはあった。
どちらかと言えば、今以上に「地上波で日本語吹替・CMぶつ切り・時間に収めるためのカットありのバージョンを見るくらいなら、ビデオ借りて観ようかな」の時代だったかもしれない。それでもこんなに映画の枠はあったのだ。

他にも、ワールドビジネスサテライトのキャスターが小池百合子(当時の表記は「ユリ子」)現都知事だったり、霊界仕置人の肩書で織田無道が特番をやっていたりと気になるところは多々あるが、それは今回の本題ではない。

ここで私が言いたいのは、今、BSには地上波が無くしてしまったものが生き続けているよ、という話である。