マンガにおいて作画が締める割合は
全体の10%ぐらい

――知的でクールなキャラクターも、読み進めていくうちに人間的な部分が見えてくるところが素敵だなと思うのですが、そのあたりに先生の人格が滲んでいたりすることも?

うーん、どうなんでしょう。作品に込めたメッセージというのは、どうしても自分の中から出てくるものではありますが、意図したものではないというか。だから、ドラマ化はへっちゃらなんですけど、『ONE OUTS』がアニメ化した時は恥ずかしかったですね。
アニメってドラマより忠実に原作のセリフをなぞるじゃないですか。アニメを流しながらスタッフと作業したことがあるんですけど、「……消そうか」って。

――作画についてもお伺いしたいです。端正な線が印象深いですが、どうやって今の絵柄を確立されたのでしょう。

幼い頃からマンガを描いてきた訳ではなく、社会人になってからマンガ家になろうと思いたったので、絵柄は戦略的に決めました。
当時、読者として好きだった望月玲子先生と上條淳士先生と能條純一先生の絵柄を足して3で割って、人為的に作っていったんです。全然達していないんですけど、ちょっと上條先生っぽいことができたりすると嬉しいんですよね。やはり、自分が楽しくないと続きませんから。

――演出やコマ割りなどの技術はどうやって?

僕はマンガにおいて作画が締める割合は全体の10%ぐらいで、重要なのは構成だったり、演出だったりだと思っているんですね。

ですから、デビューしたての頃は、好きな先生方のコマ割りを研究しまくりました。

マンガ業界に入って30年経ち思うのは、一読者の頃は「なんとなくやれそう」と思っていたことが、「とんでもなく難しいことだ」と気づかされること。
富士山を遠くから見ている時は「大きいな」ぐらいだったのが、近づいて見上げた時に初めてめちゃくちゃデカいことに気付くみたいな。いま、それを痛感しています。

#2「人気タッグで描く甲斐谷忍最新作の見所は!?」へつづく

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取材・文/山脇麻生 ©甲斐谷忍プロダクツ/集英社

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