#1「ヒットを生み続ける漫画家・甲斐谷忍のマンガ術」のつづき

相思相愛で「甲斐谷×夏原」タッグ結成

――最新作『カモネギ』は、社会的に立場が弱い人を狙うペテン強者を、天才経済学者で巨万の富を持つ加茂洋平が駆逐するお話です。原案を夏原武さんが担当されていますが、まずは、このタッグが生まれた経緯をお聞かせください。

先のインタビューでもお話しましたが、僕は閃かない人間なので、アイデアを持っている人と仕事がしたいなと思っていたんです。
以前描いた『ソムリエ』という作品が、当時の集英社の取締役が言い出しっぺになって、プロジェクトとして人を集めた作品だったんですけど、またああいう風にチームで作品が作れたらと。

そんな折、夏原さん原案の『正直不動産』を読んで、「すげえ!」となったんです。以前から『クロサギ』(夏原さん原案)が好きだったこともあり、軽口程度に「夏原さんと仕事ができたらいいな」と編集者に話したら、本当に繋いでくれて。
その辺りは直接聞いた方がいいですよ。最初はどんな感じだったんですか?

(担当編集)グランドジャンプ編集部・綱島圭介副編集長 夏原さん的にも「大好きなマンガ家さんです」ということで、「だったら、こういうのはどうですか? こういうのはどうですか?」と、アイデアが溢れんばかりでした。

――では、初期の段階で今の方向性は決まったのでしょうか?

僕の方から最初にリクエストしたのは、「『クロサギ』が大好きで、そういう方向性にしたいけれど、二番煎じだとは思われたくない。だけど、お金の話にはしたいです」ということ。
お会いする前は、思想が合うかどうかが気になっていました。作品を作る時って、どうしてもどういうメッセージを込めるかという段取りになりますし、『ソムリエ』の時にそれが一番難しいことだと分かっていましたから。

一方で、自信もあって。
というのも、『正直不動産』って題名を見ても、1話目を見ても、最終的に正直者が勝つ話じゃないですか。思想が『LIAR GAME』と一緒なんです。実際にお会いして、その点も全く心配いらなかった。

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(担当編集)綱島 まずは僕が単独で夏原さんとお会いして、お金についての話を蓄積されているなと感じたんです。誰もが関心のあるテーマですし、頭のいい人がお金に困っている人を助けるみたいな話って、一番カタルシスが強いじゃないですか。そこから甲斐谷さんも交えてお話するなかで、甲斐谷さんから大学教授というアイデアが出てきて、その設定が決定的になって作品が形作られていった感じです。