死霊の祟りか、あわや凍死

青森最恐の心霊スポット・八甲田山遭難事件の現場で待ち受けていたのは旧日本兵の亡霊だったのか⁉_4
水路を抜けて鳴沢へと入る。段々と車道から離れて川の音しか聞こえなくなる

この青森最恐の心霊スポットを調査するために、私たちはやってきた。多くの心霊現象が囁かれる八甲田山だが、実際に多くの人が亡くなった露営地や山中ではそうした逸話を聞かない。

冬は積雪、夏は激流の沢沿いにそもそも訪れる人は少ないからだろう。そこで、とくに多くの死者を出した2日目の行軍路に沿って鳴沢を沢登りし、その上流部に設けられた第二露営地で一夜を明かして、噂の真実性を検証することが目的だった。

八甲田山中を走る県道40号脇には「鳴沢第二露営地」と記された看板や碑があり史跡となっているが、沢筋が細く当時の露営適地として疑問があったため、下流側で「連隊が露営できるほどの広さの河原で、かつ両側が立っていて風雪を防ぐに適した場所」を独自に探しあて、そこで野営をおこなうことにした。

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白っぽい岩が特徴の沢を登る。所々温泉のような匂いもした
青森最恐の心霊スポット・八甲田山遭難事件の現場で待ち受けていたのは旧日本兵の亡霊だったのか⁉_6
激流の滝の脇を降りていく。この後大雨が降り、引き返すことになった

沢登り自体はとくに障害もなく終えることができたし、野営中も最初は問題なかった。むしろ本当に青森最恐の心霊スポットのど真ん中なのか、と思うくらいに長閑で快適だった。

気分をよくした私は頭上に張られたタープ(雨よけの布)の下から這い出ると、適度に平らな場所を見つけて寝転び、夜風に揺れる梢を見ながら上機嫌にうとうとするほどであった。しかし――問題が起きたのはそのあとだ。