男性の傲慢な考えが性被害者を苦しめるリアル

このように見ていくと、性的虐待などの性被害を受けた女性たちが、性の面から自分をさらに傷つけるようになるプロセスが見えてくるのではないだろうか。

ただし、社会の人たち、特に男性の目には、女性のこうした内面の苦しみがなかなか映らない。ゆえに、彼らは都合よくこう考える。

「彼女たちは自分たちから進んで売春をしているんだろ。セックスが好きなんだ。そんな彼女たちを男が金を払って買うことの何が悪いんだ。彼女らに感謝されることはあっても、責められることなんてまったくない」

本当にそうなのだろうか。これは、心の痛みから目をそらすためにリストカットをする少女に「好きでやっているんだら手伝うよ」と言って、さらにカミソリやカッターを与えるのと同じことではないだろうか。

こうした女性たちが心身ともにボロボロになり、夜の街にすらいられなくなれば、福祉という形で社会が支えていかなければならなくなる。
そんな悪循環を減らすには、1人ひとりが性被害が女性に与える心の傷をしっかりと理解し、予防策を打つことが重要なのである。

取材・文/石井光太