常態化するネット世界での言葉の暴力
こうして考えてみると、ネットいじめが、リアルのいじめより、被害者を精神的に追い込んでいくことがわかるでしょう。
問題は、決定的な解決策がないことです。
まず、学校側は、子供たちが放課後のスマホ使用を制限できませんし、そこで行われていることを監視できません。親も同じでしょう。つまり、放課後のネット空間が不可侵な領域になっているのです。
また、子供たちが使う言葉遣いに対する規制もほとんどできていません。
ネットの世界には、先ほど挙げた言葉だけでなく、「うざい」「きもい」「死ね」といった暴言が氾濫しています。これらの言葉は明らかに人を傷つける悪口ですが、ネットでは当たり前のように使われ、運営会社は規制をしようともしません。ゆえに、子供たちはリアルの世界でも、そうした言葉を日常的に使用する。
教員や親は、その問題性をきちんと把握しておらず、制する手段がない。しかし、その言葉を投げつけられた子供は、筆舌に尽くしがたいトラウマを負うことになります。