言葉、技術、情報の使いこなし方を学ぶことは急務
私はネットの使用が子供にとって有害だと言いたいのではありません。ネットは子供たちに無限の可能性を与えることもあります。
しかしながら、ネットいじめの実態に光を当てた時、子供たちがそこに氾濫する言葉、技術、コミュニケーションを上手に使いこなせておらず、親も教員もどのように制限をかければいいのかわかっていないのも事実なのです。
熊本高3女子インスタいじめ自殺事件の遺族である父親は、次のように述べています。
「いじめと一言で表しても、暴力のいじめ、精神的ないじめ、言葉のいじめなど、たくさんあります。その中で言葉のいじめは軽く見られますが、うちの娘がそうだったように言葉は時として、人を自死に追い込むほどの暴力性を帯びた凶器となりえるのです。それを今の若い人に危機感を持って理解してもらいたいと思います」
ネット空間は「鍵アカ」と呼ばれるものも含め、今後ますます密室化していくことでしょう。そこではいじめが余計に表面化しにくいものになるはずです。民間企業が学校に入り込み、必死になって予防策を打っていますが、ネットの急速な進化もあって、いたちごっこのような状態になっていることは否めません。
だからこそ、親や教員がネットいじめの本質をしっかりと理解した上で、どう対策を打っていくかを直に話し合っていくことが不可欠なのです。
取材・文/石井光太