Win-Winの関係を狙う戦略
YouTubeやTikTokからもどんどん人材はテレビ界に流れ込んでいて、よよよちゃん、奇跡、喉押さえマンといった名前をバラエティ番組で見た人は多いだろう。一般的な企画勝負のYouTuberがテレビの世界では苦戦しているのに比べると、わかりやすい芸のあるモノマネ系YouTuber、TikTokerは強い。テレビマンもニュースター発掘にYouTube、TikTokを活用しているのは明らかで、演者側は知名度アップを狙いテレビに進出し、テレビ側は彼らの拡散力も利用できるという意味でもWin-Winの関係になっている感がある。
芸能人からTikTokerまで、多くの人が様々な角度から常にモノマネを披露する現代。あまりにも、モノマネ芸がテレビにあふれ過ぎている気がする。
かつて、モノマネを芸の柱にするというのは邪道であった。
「ものまね四天王」のブームから約30年。今やモノマネはテレビの世界において王道芸の一つになっている。
だが忘れてはいけない。モノマネというのはモノマネされる側あってのモノマネだということを。モノマネされる人は当然にして誰もが知っている人やキャラクターだからこそ、その芸は成立する。
スター不在が囁かれて久しい世の中。どんどん増えるモノマネ芸人がモノマネ対象を食い尽くしてしまわないだろうか。
モノマネ芸人過当競争時代にあって、寧ろモノマネしたくなるような特徴を持つスターの不在を心配する私であった。
文/前川ヤスタカ イラスト/Rica 編集協力/萩原圭太