3歩進んで2歩下がる、同性婚の法制度と変化

――それでは、今回ご家族はどのように入国されたのでしょう?

6月の国会質疑で「外国人の同性パートナーも入国可能にするべきではないか」と公明党の高橋光男議員が問題を提起してくれたことで、急遽ビザがおりることになったんです。別の書類を用意して、3人で帰ってくることができると決まったのが、出国の1週間前。

90日以上の滞在の為のビザ申請などは未だに認められておらず、同じ土俵に立てていないことを痛感しますが、変化を感じた機会でした。2011年の頃と比べると、根本的な制度の変わらなさには落胆しつつ、人々の理解は増えたのかなと思います。

──個人的にもムードの高まりは感じていますが、未だに同性婚は認められていませんし。

2015年に渋谷区や世田谷区が同性カップルであることを認める証明書を発行するなど、自治体レベルでの進展は感じます。ですが、国単位で制度は変わっていないので、たとえば仕事や家族など何かしらの理由で引っ越しが必要な場合に、行動の制限が起きてしまうのは窮屈ですよね。

僕の場合は、スウェーデンで婚姻するために日本で「独身証明書」(前:婚姻関係具備証明書)を取り寄せて、持参する必要がありました。2000年ごろは「申請者本人の性別」と「結婚する相手の性別」を記入する必要があり、同性同士だと独身証明書の発行が差し止められていたそうです。

ですが、2009年に社民党の福島みずほ議員が「相手の性別記入欄は不要ではないか」と提案して、それに自民党の稲田朋美議員が異議を唱えるなど様々な論争があったものの、結果的に性別を問わず発給されました。そのおかげで、僕は2011年に入籍できたんです。

──そうした制度の変更があったとは、知らなかったです。

制度を利用しないと知らないと思いますし、少しずつですけど変化していると思います。そのおかげで、こうやって外国籍のパートナーと子どもと帰ってくることができました。ただ、同じ同性婚カップルでも状況は全然違っていますし、バックラッシュがあるのも事実です。3歩進んで2歩下がることを常に繰り返している印象です。