デュアルユース(軍民両用)の技術・生産基盤の育成

ただ、リ・スキリングや職業能力開発の推進・支援、AX(AIトランスフォーメーション)時代の産業基盤を支える人材育成に向けた高校教育と高等教育の改革など、特に目新しいものはないと言える。

首相が力を入れる経済安全保障上、重要な分野への投資環境の整備についてはデュアルユース(軍民両用)の技術・生産基盤の育成や技術流出対策の強化、貿易救済措置の執行強化を行うべきとし、経済合理性に委ねると安定供給確保が困難な領域については国による支援の方策を検討するべきとしている。

また、地域の成長については「産業クラスター」形成など産業立地に必要な公共インフラなどの整備に加え、中堅・中小企業のサプライチェーン形成、産業人材育成を一体的に実施すべきと指摘。

GXを軸にコンビナートや脱炭素電源などを核とする産業集積を実現するべく、「GX戦略地域制度」による支援と規制・制度改革を一体的に措置すべきと提言する。

あれ…? これといって目新しいものがない

さらに、我が国が優位性を持つ技術の海外展開や海外の知見の取り込みを外交的に後押しすべく、「外交機会」の活用や国際連携を通じ、デュアルユース技術も含む信頼できる先端技術エコシステムの共創やスタートアップの海外展開支援、在外公館などを巻き込んだ産学官のネットワーク強化、世界トップ人材の受け入れや日本人研究者の海外派遣などによる「国際頭脳循環」、ODA(政府開発援助)の戦略的活用にも取り組むべきという。

ここまでの内容を見て、「あれ? 一体、サナエノミクスって何だったの?」と感じる方は政治・経済に精通しているだろう。それもそのはず、これといって目新しいものはないからだ。

岸田政権や石破茂政権時代と名称こそは違うものの、政策ごとに見れば焼き直し感が否めず、ごく一部を除いて事業規模を拡大・縮小しているものが大半である。

岸田、石破政権時代の政策の焼き直し感も
岸田、石破政権時代の政策の焼き直し感も

たとえば、地域の成長を目指す「産業クラスター」の形成は石破政権時代の地方創生と同じで、当時も「産業クラスター」との言葉で議論されていたものだ。AIなど先端技術への投資もこれまで実施されており、新味は欠いている。

ただ、問題はそれだけではない。先に「原案」から抜粋して触れた部分にはワケがある。