「高市総理の悲願」国旗損壊罪を急ぐ理由
自民党の国旗損壊罪創設に向けたプロジェクトチーム(PT)は5月15日に会合を開き、法律骨子案を提示した。
骨子案では、人に著しく不快または嫌悪の情を催させるような方法で、公然と損壊・汚損したり、自ら損壊する状況を撮影した動画や画像をSNSなどに投稿したりすることを処罰対象としている。
その上で、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を定めるとしている。
ただし、処罰対象や罰則を巡り、慎重論が噴出したことから、PTでの了承は見送られた。
「国旗を大切にするのは当たり前ですが、わざわざ法律で縛る必要があるのか。それに、国旗を傷つける行為が相次いでおり、社会問題になっているかといえば、そうでもない。
立法事実(新しい法律を作る根拠となる事実)も不十分だし、結局のところ、あまり意味のない話です」
自民党のベテラン議員はそう本音を吐露する。
国旗を傷つける行為が社会問題化していない以上、国旗損壊罪の制定を急ぐ必要は、ほとんど見当たらない。
むしろ表現の自由との兼ね合いから、慎重な議論が求められるべきだろう。
なぜここまで性急に議論するのか?
「高市総理の悲願だからです。そこに、連立パートナーの日本維新の会ものっかった」(同前)
高市総理は、自身の公式ホームページのコラムで、2010年に、国旗損壊罪の制定を目指す「刑法の一部を改正する法律案」を自ら起草し、2012年に議員立法として衆議院に提出したが、廃案になったことなどを明かしている。
高市総理は2021年にもこの国旗損壊罪の制定に向けて動いたが、実現しなかった経緯がある。
「はっきりいえば、岩盤保守層に向けた人気取り政策、もっといえばパフォーマンスですが、高市総理にとっては長年の悲願のわけです。
そうした中で、昨年の維新との連立合意の中に、国旗損壊罪の新設が含まれたのです」(自民党関係者)
水面下では“しらけムード”も漂う国旗損壊罪だが、自民党内では、表だった反対論は限られているという。
「石破茂前総理と近しく、党内でリベラル派とみられている岩屋毅前外相は反対の立場を明確にしており、罰則付きの骨子案を『国民の萎縮を生みかねない過剰規制』と批判しています。
安倍晋三元総理とも親しく、過去2回の総裁選で高市総理を支援してきた西田昌司参院議員は、法律よりもモラルや常識によって国旗を大切にするべきだとした上で、罰則付きの骨子案に慎重な意見です。
むしろ、戦後教育の見直しなどに取り組むべきだと、保守派の立場から主張しています。
そのほかにも、表現の自由の問題に取り組んできた山田太郎参院議員や赤松健参院議員も慎重姿勢とされます。
ただし、全体としては、高市人気の中で、反対論はそれほど表立ったものになっていないのが現状です」(同前)














