空気階段・鈴木もぐらが語る「雀荘飯」
飯の味というものは、食材や調理法が重要だということは当然であるが、その見た目や、いつ、誰と、どこで、どのようにして食うかも味に多分に影響を与える。
つまり、飯とは舌のみで味わうものではないということを証明している。舌で、鼻で、目で、耳で、脳で、心で、全身の五感、いや第六感までをも駆使して、皆、飯を味わっているのだ。
そういった意味でいうと、麻雀中に食う飯は最高にうまい。
なぜか。
勝つか負けるか、勝負のまっただ中にあり、体中の五感、全神経が最高潮に昂っており、臓器の中でも最大にカロリーを消費するといわれている脳みそが休むことなくフル稼働をしている。そんな状態で食う飯が、うまくないわけがない。
麻雀をされない方は、いったん休憩をして飯を食うのだろうとお思いかもしれないが、そうではない。勝負の最中、麻雀を遊戯しながら飯も食うのだ。
作法としては、届いた飯を左手に持ち、箸やスプーンは飯の右側に差したままにしておく。牌をツモり、素早く捨て、その手をそのまま箸へ持っていき、飯をできるだけ掻っ込む。箸は飯を掻っ込んでからすぐに飯の右側に差しておく。もぐもぐと食べている間は、右手になにも持たない。勝負は進行している。鳴きたい牌があればすぐに鳴けるように、誰かが和了(あが)ればすぐに点棒を差し出せるように、常に右手はフリーにしておくのだ。
いやいや、そんな面倒な食い方をしなくても、みんなで休憩して飯を食えばいいではないか、もしくは、ちゃんと飯を食ってきてから麻雀を打てばいいではないか、とお思いの方もおられるはずだ。
しかし麻雀打ちはそれをしない。













