もぐら流「飯がうまい雀荘の見分け方」

理由は大きくふたつある。

ひとつは、麻雀が大好きで、わざわざ麻雀を止めて飯を食う時間がもったいないと感じるから。そしてもうひとつは、麻雀をしながら食った方が飯がうまいから、である。

先ほど申し上げたように、麻雀中は、飯を味わうために必要な第六感までのすべての感覚が研ぎ澄まされている。わざわざ休憩して感覚を休めながら飯を食ってはもったいない。鉄は熱いうちに打て。麻雀によって、嫌でも感覚が敏感になっているのだから、それを利用して麻雀を止めずに遊戯したままで飯を食えば、格別にうまく食えるというわけだ。

忙しい日々を過ごし、なかなか飯に全神経を集中させて食えていないなあ、最近うまい飯を食っていないなあ、という方は、ぜひ麻雀をしながら飯を食ってみてほしい。飯とはこれほどまでにうまいものかと、口内から全身にかけて染み渡る飯の味を、体験していただけるはずである。

極論、飯を食うために麻雀を覚えたっていい。麻雀はいくつになっても遊べるし、子どもから老人まで、性別だって一切関係がなく、そういったものに左右されるハンデキャップも存在せず、手加減なしで真剣勝負ができる稀有な遊びだ。一生の趣味として、非常におすすめである。一生の趣味と、格別の味を同時に手に入れることができるのだから、一石二鳥である。

最後に、飯がうまい雀荘は非常に多いのだが、特に飯がうまい雀荘の見分け方をお教えしよう。それは、焼きそばでも、丼でもなんでもいい。

「飯の上に、目玉焼きが乗っかっているかどうか」

である。注文した飯に目玉焼きが乗っていたら、その雀荘は大当たりである。私の経験上、これは間違いがない。相手の当たり牌はまったくもってわからない私だが、飯がうまい雀荘かどうかは、わかるのだ。

独自の魅力でファンを惹きつける空気階段(写真/ポプラ社提供)
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没頭飯
鈴木 もぐら
没頭飯
2026/3/30
1,650円(税込)
183ページ
ISBN: 978-4591189290

\空気階段・鈴木もぐら、「食」を通して自身を語る初の単著/

【内容紹介】
飯を語ることは、己を語ること――「食」に対する探求心と愛が凝縮された大人気連載を書籍化。父親・母親との思い出から、部活動、股関節手術、交友関係まで、「食」を通して著者の人生が垣間見られます。語り下ろしエッセイ3本、書き下ろしエッセイ4本も追加収録。2023年にダイエット成功後、我慢せず食べたものをXで紹介し話題を呼んだ「復讐」投稿も収録。装画・挿画は大橋裕之氏(漫画家)。

【目次】
■脳が「うまい」に支配される
■唐揚げ、米、つけあわせ、奇跡のリズム
■チン管問題
■北海道マウントをとられた夜 ――――オズワルド畠中の得意げな顔
■じゃがりこは太陽
■なにがどううまいのか、わからない、でもうまい「高円寺飯」
■サカナマフィアの影
■父親のまなざし
■「ずずずず」と「どぅるん」が卵かけご飯の醍醐味である
■高円寺居酒屋24時間ループ
■母と怒りとポークソテー、三位一体の味
■目、唇、歯、舌……うまさのバトンがつながっていくラーメン二郎
■おなじメンバー、おなじ話 ――――鬼越トマホーク・坂井さんとの日々
■瓶ビールの流儀 ――――岡野陽一さんの場合
■雀荘飯
■全芸人が感謝している喫茶店
■本物のハンバーガー ――――ミネタさんが教えてくれた味

【「はじめに」より抜粋】
ふと、「この本は、なんのために書いているのだろうか?」との問いが、頭に浮かんできた。飯を愛する読者の方のお役に立てれば、入院中に暇に駆られている方の暇つぶしになれば、この本で皆さんの飯を少しでも楽しくできたら、様々な答えが浮かんできたが、まず頭に浮かんだ答えは、こんなものであった。

「私はうまいもんを食うために生まれてきた!」

と叫ぶ母に、あなたから生まれた証として、私からこの本を贈る。

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写真/ポプラ社提供
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