アンケート調査からも見えてくる「これでいい」という消費者意識
トップバリュは包装の簡素化や大量仕入れ、原料の調達ルートの見直しなど、あらゆる手を使って価格を維持する見通しだ。そして、製造を委託する会社に発注した量はすべて買い取ってもいる。今や取引先に負担をかけて価格を下げるやり方は時代遅れであり、食品の安全性や品質を守るためにも会社同士の健全な関係の維持が必要だ。
こうした動きができるのも、食品スーパーだけで約2200店舗、小型店で1000店舗、コンビニで2000店舗という巨大な販売ネットワークを築いたイオングループのスケールメリットの賜物だ。同業態を多店舗展開してコストを削減し、低価格の商品を広く販売する手法こそチェーンストア戦略の要である。
一方、チェーンストア戦略は店舗の画一化を招きやすい。それがマイナスに働くこともあり得る。例えば、イオングループは「マルエツ」や「いなげや」などのスーパーを傘下に収めている。別ブランドにもかかわらず、同じ商品ばかりが並んでいては客が寄り付かなくなるだろう。
イオンはかつて画一化するこの現象に悩まされた。その象徴的な存在となったのが中国・四国地方を中心に展開していたマルナカだ。イオンは2011年に買収したが、その後マルナカは生鮮食料品の仕入れがイオン中心となり、トップバリュの商品も多く並ぶことになった。
地元の農家や漁業組合などから新鮮な食材を仕入れることに強みがあったマルナカは、イオンと同質化してしまったという。それが客離れを引き起こし、しばらくイオンのスーパーマーケット事業は低収益化に苦しむ要因となったとみられる。
しかし、インフレで時代は様変わりした。日本政策金融公庫の「消費者動向調査」では、食費を節約したいという「経済性志向」が2023年7月の調査以降、40%超の高水準を維持している。消費者の節約志向は高まるばかりだ。
消費者が価格を優先して選択している様子は、プライベートブランドの調査で明らかになっている。アンケートツールを提供するアイブリッジの「PB(プライベートブランド)商品についての調査」では、1年間に購入したプライベートブランドのトップはトップバリュで45.4%に達している。一方、同ブランドを「とても好き」だと回答した割合は26.2%だ。満足度はコストコのプライベートブランド「カークランドシグネチャー」の64.1%と大きな乖離が生じている。
インフレ下で、消費者の「これでいい」傾向は強まっていると言えるだろう。低価格で「これがいい」商品を届けるデフレスタイルは終焉を迎えたのだ。












