高市政権を追い詰めかねない「最大の関門」

実は、この点こそが高市政権を追い詰めかねない「最大の関門」となり得る。補正予算の編成に慎重であるということは、当初予算案の規模が大きくなることを意味する。

4月7日に成立した2026年度当初予算は、一般会計の歳出総額が過去最大の122兆3092億円に上り、国債利払いや償還に充てる国債費は31兆2758億円と初めて30兆円を上回った。

政権が注力する人工知能(AI)や半導体など「17の戦略分野」への本格的な投資促進を見据えれば、来年度予算案がさらに膨張するのは必至だ。とりわけ、経済安全保障関連の議論においては財源論を後回しにしかねない「積極財政」ぶりが聞こえてくる。

自民党は先の衆院選公約で、財政運営に関し「成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していきます」と説明。

その上で「“円”が引き続き相対的に信認を維持し続けられるよう、『強い経済』の構築と財政の持続可能性の実現を両立させ、マーケットからの信認を確保していきます」と掲げていた。

「とにかく金利がどう動くか、だ」(政府関係者)

だが、市場は首相が掲げる「責任ある積極財政」への警戒感をなお隠さない。4月30日に長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは、5月15日、一時、2.73%を記録した。約29年ぶりの高い水準となる。

長期金利上昇は、住宅ローン金利の上昇を招くだけではなく、企業の経営にも影響を与える。

日銀が保有している国債の含み損も巨大になるだろう。政府・日銀は円安是正のための為替介入に踏み切ったが、円安が進行すれば輸入物価が上昇し、国民生活を脅かす。

熱狂消えた高市政権を追い詰める“最大の関門”は「消費税ゼロ失速」でも「保守層の失望」でもなく…永田町では「ポスト高市」への動きも加速_4

そもそも、高市首相が1月の通常国会冒頭で衆院解散を断行した理由の1つには、2026年下半期の景況が悪化するとの予測が周囲からもたらされていたことがある。改善が見えない日中関係に加え、中東情勢の悪化に伴う原油価格の高騰も気がかりだ。

それに加えて、飲食料品の消費税ゼロ化や来年度予算の膨張などがマーケットに与えるインパクトは決して小さくない。

政権内には「とにかく金利がどう動くか、だ」(政府関係者)と警戒する向きもあるが、ひとたびネガティブに市場が反応すれば軌道修正するのは容易ではなくなる。

もちろん、消費税は社会保障の安定財源であり、減税した分の財源をどのように確保するつもりなのかは厳しく問われるべきだ。