焼き魚定食で揺れる永田町
“会食嫌い”を公言する高市総理。党幹部とのコミュニケーション不足が指摘される中、4月上旬に、首相官邸で約1時間、珍しく「ランチ会」を催した。
招待したのは、自民党総裁選で自らの後ろ盾となった麻生太郎副総裁、その義弟・鈴木俊一幹事長、そして萩生田光一幹事長代行である。
高市総理が3人に振る舞ったのは、官邸の食堂から取り寄せた「焼き魚定食」という庶民的なメニューだった。
ただし、党内からは、戸惑いの声も出ていた。
気心知れた相手とは別にして、自民党では先輩政治家との会食の場合、相手のキャリアや好みに合わせて、メニューやお店を決めるのが通例だからだ。
伝統的に政治家にとっての会食は、信頼関係を醸成する目的があるとされてきた。会食のメニューや、もてなしは、相手への感謝や重要視していることを示すメッセージにもなり得る。
志公会(麻生派)の派閥領袖として君臨してきた麻生氏は、まさにそうした気配りを重視してきたとされる。
「その意味では、麻生さんに “焼き魚定食”を出すのは、ちょっと……。通常なら、少なくとも、それなりのお弁当などを用意すると思います。高市さんにはそういう発想がない。
よく言えば、庶民的ですが、ビジネスマナーとしてはどうなのか。結局、高市さんが、あまり気配りや人心掌握が上手ではないことの現れでしょう」
4月13日に「集英社オンライン」が、そんな自民党の副大臣経験者の声を報道した後、にわかに勃発したのが「焼き魚論争」である。
「毎日新聞は4月20日に、麻生氏が運ばれてきた切り身の『焼き魚定食』に手をつけることはなかったと報道しました。麻生氏周辺が、焼き魚定食というメニューに、総理の気遣いが見えないと、イラだっていると伝えました」(全国紙政治部記者)
「政策最優先」の高市総理は、古典的な人間関係重視の政治スタイルとは異なると指摘されている。
この毎日新聞の報道に対して、“カウンター”に打って出たのがフジテレビだった。
「FNNオンラインは4月23日に、高市総理がランチ会を定例化する意向だとした上で、“焼き魚会食”を巡っても、麻生氏は定食に『手をつけていた。何も問題ない』という同席者の証言を報じました」(同前)
かように、麻生氏が焼き魚に手をつけたのかどうかは未だはっきりしないが、高市総理の「焼き魚会食」は論争の様相を呈したのだった。
官僚出身の自民元職議員は筆者の取材に対して、こう語る。
「霞ヶ関の官僚は昔、政治家との会食や、返礼品のマナーを徹底的にたたき込まれたものです。
いいか悪いかは別にして、そうした永田町・霞ヶ関の“常識”からすれば、麻生さんに官邸の(食堂の)焼き魚を出すという、高市総理の振る舞いは“型破り”なのは間違いありません」














