中国産レアアースが圧倒的に安い本質的理由

半導体工場への補助金行政と比較すれば、サプライチェーンの最上流である資源そのものを押さえようとするレアアース戦略は、まだ理にかなったアプローチに見える。

川の源流を押さえるという発想自体は悪くない。しかし、発想が間違っていないことと、実際の事業が成功することは全く別の次元の話である。

敗北を決定づける最大の要因は、圧倒的に安い中国産レアアースの存在である。

中国産の資源がなぜ信じられないほど安価に国際市場へ供給され続けているのか、背景にある理由を深く理解する必要がある。

単純に労働者の賃金が安いからではない。レアアースをただの土から取り出し、工業製品に使える形に整える過程では、深刻な環境汚染が必ず発生する。

複数の化学薬品を大量に使い、有害な物質を含んだ廃液や、放射性物質を含む廃棄物が大量に生み出される。中国は長年にわたり、自然環境を破壊するリスクを無視し、国家の強大な権力で住民の声を強引に抑え込むことによって、他国には真似できないほどの低コストでレアアースを生産してきた。

汚染された水を排出し続ける荒っぽい手法こそが、低価格の秘密である。到底、私たちにはできない手法だ。

「勝算はほぼゼロ」でも税金投入…日本のレアアース戦略が“中国に絶対勝てない”これだけの理由_2
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どうやって中国産にコストで勝てというのか

環境保護の意識が高く、極めて厳しい法律が存在する日本国内で、中国と同じような乱暴な生産活動を行うことは不可能である。日本がもし国内で安全にレアアースを精製しようとすれば、自然環境を守り、汚染物質を完全に処理するための莫大な設備投資が必要となる。

水質を浄化するフィルターを何重にも設置し、有害物質を安全に保管する施設を建設しなければならない。結果として出来上がる安全でクリーンな国産レアアースは、中国産と比較して数倍、あるいは数十倍の価格になってしまうのである。

製造業の究極の目的は、製品を売って利益を出すことである。

同じ性能を持つ材料が目の前に二つ並んでおり、片方が圧倒的に安ければ、企業は必ず安い材料を選ぶ。愛国心や経済安全保障という立派な理念を並べ立てたところで、民間企業に高い材料を買い続けさせることはできない。

安い材料を使わなければ、完成した製品の価格も高くなってしまい、世界中の消費者からそっぽを向かれてしまうからである。