「店を維持するのはやはりお客様の理解と応援の気持ちあってこそ」
さらに、川田さんよりも前に「スマホはご遠慮ください」と店に注意書きを出した店主もいる。日本有数のラーメン激戦区、高田馬場にある『博多ラーメン でぶちゃん 高田馬場本店』の店主、甲斐康太さんだ。
「私が『ながら食いをご遠慮ください』という注意書きを卓上に設置したのは2023年3月ですね。2018年開業当時もすでにスマホは普及してたし、『ながら食い』するお客さんはいましたけど全体の1、2割ほどでした。
でも今は若い世代は友だち同士で来ても『ながら食い』してますからね。満席なのに周囲を気にしないお客さんがあまりに多いことから注意書きを出しました。
出した当時は反響があったし、実際、それに反発する方は来なくもなりました。でもゼロにはなってません。もうあきらめています(笑)」
また、甲斐さんは「昨今のインバウンドの迷惑行為ばかりが取り沙汰されるが、むしろラーメン店では観光客のほうがお行儀がいい」と言う。
「中国や韓国の方は日本人と同様に『ながら食い』は散見されますが、欧米のお客さんなどで『ながら食い』してる人は見たことがないですね。
それらの国の方は接客にはチップが必須ですから、日本のように『お金払ってるんだから、何してもいいだろ』的な態度の方はいませんし、『美味しかった』と感謝さえしてくれますからね。
自国で食べたらラーメンは3000円から5000円しますから、日本で1000円程度で食べられることへの感謝も感じます」
甲斐さんは「スマホのながら食いは単なるマナーの問題だけではない。ラーメン業界の衰退にも関係している」と嘆く。
「ラーメン店のような専門店は日本ならではの独自のサービス業態です。低コストでの開業で高品質の食品を提供できるという、店にも客にもメリットしかない業態なんです。そういった店を維持するのはやはりお客様の理解と応援の気持ちがあってこそ。
『ながら食い』をされて、店の回転率を下げることは長い目で見たらラーメン業界の首を絞めます。まあ利己的なお客さんばかりなのは承知の上なので、私はあきらめていますけど(笑)」
「ラーメンぐらい好きに食べさせてほしい」と言いたいお客も多いだろう。だが、ラーメン店でのスマホのながら食いは何を招くか、もう一度考えて目の前の丼に向き合う必要があるのではないか。
取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班














