企業への不満をSNSで書き込むのが当たり前の時代に
加えて、滞在中には店員が10分に1回ほどパンのストックを確認しに来ていた。これがもともとの通常運用なのか、あるいは最近のSNS上の騒動を受けて現場レベルで気を配っていたのかまでは分からない。ただ、少なくとも筆者が訪れた店舗では、「パンが来ない」といった不満は生まれにくく、むしろサービスの丁寧さが際立っていた。
そもそも、「鎌倉パスタ」が今回SNSで炎上した点も、その真偽は不明だ。元々の投稿主に告発の意図はないだろうし、実際に不快な思いをした人がいたのも事実だとしても、約200店舗ある中の一部店舗、あるいは特定の時間帯での体験が強く拡散されることで、それがあたかも全国どこでも日常的に起きている問題であるかのように受け取られてしまった可能性もある。
店舗運営としては、たとえ一度でも「パンが来ない」という状態を起こしてはならない、という考え方はあるだろう。だが、SNSで拡散されることで、その一例がブランド全体の印象を決定づけてしまうリスクは、あまりにも大きい。
そして今や、企業や運営が十分に対応してくれないと感じたとき、人はまずSNSに訴えるようになっている。しかも、それが“成功体験”として共有されつつある。
たとえば最近も、メルカリなどでは、個別に問い合わせても動かなかった案件が、SNSで大きく拡散されると急に対応が進んだように見えるケースがたびたび話題になる。利用者からすれば、「普通に言っても変わらないなら、可視化するしかない」という発想になるのは自然だろう。
だが一方で、以前ならそこまで大ごとにならなかったかもしれないオペレーションミスや一部店舗の不備が、SNSでさらされ、不特定多数から集中砲火を浴びる光景は、どこか企業や現場への“いじめ”のようにも見えてしまう。
声を上げることは必要だ。企業に改善を求めることも当然だ。だが、「SNSでさらして動かす」ことが半ば前提の社会になっていくことに、どこか居心地の悪さを覚えるのもまた事実である。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部













