「金太郎、居直る。」(集英社文庫・コミック版6巻収録)
金太郎に降り続く困難
『サラリーマン金太郎』第57話では、砂漠の工事現場のドタバタがさらにエスカレートしていく。
工事は相変わらず思うように進まない。遅れに焦った金太郎が檄を飛ばしても、60度近くまで気温が上がる現場では、作業員たちもそう簡単には動けない。
そこへ追い打ちをかけるように、今度はワーカー同士の乱闘が起きる。しかもただの小競り合いではなく、鉄パイプで殴り合い、ナイフまで持ち出す騒ぎだ。駆けつけた警官は躊躇なく発砲し、仲裁に入っていただけの金太郎まで連行され、牢屋に入れられてしまう。
その牢屋で金太郎が出会うのが、自称・大ドロボウの男である。子分が50人いるというが、とてもそんな大物には見えない。
やがて看守が食事を持ってくるが、そこで「300ギラだ」と金を要求される。牢屋で飯を食うのにも金がかかるのかと金太郎は驚くが、結局はその自称・大ドロボウの分まで払い、質素なパンを買うことになる。
そこで男が笑いながら言う。「お前の国じゃ、牢屋の飯タダなのか……。だったら牢屋に入れば、餓死しないな」と。
さらっとした言葉だが、かなりきつい。日本なら“牢屋に入っても飯は出る”という感覚が、ここではそのまま通じない。その一言だけで、この国の貧しさや、日本との感覚の違いがにじんでくる。
何から何まで、日本での常識が通用しない。工事現場は荒れ、警官は発砲し、牢屋の中でさえ金がいる。第57話は、金太郎が砂漠の工事で苦労する話というより、そもそも自分の常識がまるで通じない場所に放り込まれる回と言えるだろう。
結局、金太郎は同僚がお金を払ってくれたことでようやく出所する。ヒゲも伸び、ぼさぼさになった金太郎の姿は、ぜひ漫画で見てほしい。























