圧倒的な軍事力を持つアメリカが、なぜ無様な迷走を

ゆえに、ひたすら強い言葉を並べ立てて自らを鼓舞する必要がある。

結果として、強がりと現状への不満が複雑に絡み合い、同盟国にも敵国にも意図が伝わらない、支離滅裂なメッセージが発信され続ける事態に陥ることとなった。発言がブレ続けることは、前線の将兵や外交実務者にとっても計り知れない混乱をもたらす要因となっている。

なぜ、圧倒的な国力と軍事力を持つアメリカが、ここまで無様な迷走を重ねたのか。最大の原因は、戦争の目標自体が常に変化し、一貫した国家戦略が存在しない点にある。

イラン攻撃の目的はなんだったのか
イラン攻撃の目的はなんだったのか

到達すべきゴールが毎日動くようでは、いかに優れた軍隊であっても作戦を完遂することは不可能に近い。CNNは「The Trump team’s ever-changing list of 4 goals in Iran」(3月31日配信)という別の記事において、政権内部の深刻な機能不全を次のように指摘している。

「しかし、目標が正確に何であるかに関して、政権は著しく一貫性を欠いている。当局者は定期的に4つの目標を挙げてきたが、日付や誰が提供するかによって頻繁に変わっている」「政権が4つの目標さえ一貫したリストとして提示できない場合、戦争努力の成功を測定するのは非常に困難になる」

定まらない「トランプが戦争を始めた理由」

目標が定まらない軍事作戦ほど悲惨な結末を迎えるものはない。成功の基準が曖昧なままでは撤退の決断を下すことができない。明確な戦果がないからこそ、過激な攻撃オプションに手を出さざるを得なくなる。

ホワイトハウスの主は自ら始めた戦争が泥沼化するなかで、後戻りも前進もできない板挟みの状態に陥っていた。CNNは「Why Trump can’t explain the start — or the endgame — of the war in Iran」(3月10日配信)において、八方塞がりの現実を次のように表現している。

「開戦から10日目、トランプはなぜ戦争を始めたのかについて一貫した理由をまだ定めていない。今、大統領は和平が間もなく訪れるかもしれないとほのめかしている一方で、側近たちと共に戦闘が激化し長期化する可能性を同時に警告している」

苦境の根源は、国内政治の厳しい視線と国際社会における孤立にある。常に「強い指導者」として振る舞うことを政治的な生命線としてきた。弱腰を見せれば強硬派から激しい反発を招く。