大槻ケンヂ「歌詞は結局、人々の無意識の集合体でもある。すると中には“予知”のようなものが書かれることも十分あり得ると思っている」【還暦記念詩集『幻と想』インタビュー 前編】_2

大槻ケンヂの作詞プロセスとは?

作詞方法について聞いた。

大槻の場合、ほとんどの楽曲は“曲先”で作られているという。

「新譜を作るときには大体、10〜20曲分ぐらい曲のデモテープがまずできて、“この曲にはストックしていたこの題材がいいな”と当てはめていく作業をするんです。歌詞の題材のストックは、常に持っているようにしてるんですよ。それがない場合は、デモを聴いて詩のイメージが自然に浮かぶ順に着手します」

ではその“ストック”とは、すでに歌詞の形になっているのか。そう問うと、答えはノーだった。

「タイトルだけだったり、モチーフだけだったり。小説で一度書いたテーマで“使えるかもしれない”と思うものもあります。『爆殺少女人形舞一号』っていう曲なんかは、小説が先にあったんじゃなかったかなあ。ちょっと、はっきり覚えてないんですけど」

この制作スタイルが確立したのは、1988年のメジャーデビュー前後だったという。

「インディーズレーベルのナゴムレコードに所属していた時代は、曲も歌詞もその場で作っていくような感じだったので、制作工程もはっきり決まっていませんでした。作詞作業をちゃんとやらなければいけないと思ったのは、メジャーデビューぐらいからです。インディーズの頃は曖昧なものでしたねえ」

歌詞が生まれる速度は、曲によってまちまちだ。

「あっという間にできるものもあれば、できないときは本当に四苦八苦です。何も浮かばないときっていうのは、ホントにあります。でも今回の詩集に収録した詩は、割とすぐに浮かんだものが多い気がします。パッと浮かんだものは、すぐ書けた体験が快感としてインプットされている。だから振り返ったときに、その成功体験が強い作品をより好きに思える気がします」

2003年から2025年までに作った歌詞は約150編に及ぶが、今回の詩集には大槻自身が厳選した116編が並ぶ。

その選別の基準には、歌詞の制作過程における“成功体験”の記憶が、少なからず反映されているのだろう。