W杯本大会までに最も成長しそうな選手

そして最も伸びしろを感じさせるのがFW塩貝健人である。3月のイギリス遠征で初招集された塩貝は所属する独ブンデスリーガヴォルフスブルクでも、下位に低迷するチームの中で奮闘している。

3月のスコットランド戦で代表初出場を果たした塩貝健人(写真/共同通信社)
3月のスコットランド戦で代表初出場を果たした塩貝健人(写真/共同通信社)

塩貝の価値は、既存の前線のメンバーとは少し異なる特徴を持っている点だ。日本のアタッカーは足元で受けて崩せる選手が多い一方、塩貝はゴールへ直線的に向かう矢印が強い。背後への飛び出し、ゴール前での反応、相手DFに圧をかけ続ける推進力は、終盤の展開を変えるカードになり得る。

しかもまだ21歳と若く、野心をむき出しにした姿勢は、チームに競争と勢いを持ち込む。W杯の登録メンバーには、完成度だけでなく「対戦相手にとって未知であること」も武器になる。まだ欧州でのキャリアのまだ浅い塩貝はその条件を満たす数少ない1枚だ。

また冨安、佐野、塩貝の3人に共通するのは、単に実力者だから期待できるのではなく、日本代表の輪郭を少し変えられることにある。冨安は守備設計とシステム運用の幅を広げ、佐野は中盤の強度と試合耐性を底上げし、塩貝は前線に新しい縦の推進力と“未知性”を持ち込む。

ワールドカップで日本がもう一段上に進むには、スタメンの完成度だけでは足りない。90分をどう戦うかだけでなく、タイトな試合日程の中でターンオーバーで選手を休ませながら大会をどう勝ち抜くかという視点が必要だ。

この3人はこれからの日本代表の実力を一層押し上げるプラスαになり得るだろう。

取材・文/集英社オンライン編集部