スタメンの序列を一気に変える2人の選手

6月に北中米ワールドカップに向かう日本代表は、すでに土台の完成度が高い。

オランダリーグで得点ランキングトップを独走するFW上田綺世をはじめ前線には個で違いを作れる選手が並び、中盤には走力と技術を兼ねた人材がそろい、最終ラインも可変システムに対応できる。

だからこそ本大会で問われるのは、ベースの強さそのものよりも、相手や試合展開に応じて“勝ち筋を一段増やせるか”どうかだ。日本の戦い方そのものを拡張する切り札的存在として、アジア最終予選からの上積みとなり得る選手が3人いる。

森保監督が選出する26人の代表メンバーは誰になるのか(写真/共同通信社)
森保監督が選出する26人の代表メンバーは誰になるのか(写真/共同通信社)
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まずDF冨安健洋である。2026年3月のイギリス遠征メンバー発表で、冨安が2024年6月以来およそ1年9か月ぶりに復帰した。英プレミアリーグのアーセナルを退団後、無所属を経て現在、冨安の所属はアヤックスとなっている。

長期の離脱期間があったからこそコンディション管理は大前提になるが、万全なら彼の能力や価値は説明不要だ。187センチのサイズ、対人の強さ、空中戦、そして右SB、CB、3バックの右までこなせる汎用性は、トーナメントでは特に大きい。

日本はボール保持するポゼッション型の相手にも前からプレスをかけて来る相手にも対応したいが、冨安が1人いると最終ラインの組み換えが一気に楽になる。守備の強度を落とさずにシステム変更できる選手は希少で、彼の復帰は“1人の戦力追加”ではなく“複数の戦術オプションの追加”に近い。

次にMFはボランチの佐野海舟だ。佐野は独ブンデスリーガのマインツ所属で、昨年まで行なわれたアジア最終予選の最終盤で2試合出場すると、3月のイギリス遠征でも代表活動に参加している。特に1-0で勝利したイングランド戦ではMVP級の活躍で、同ポジションで負傷中の主将・遠藤航からスタメンを争うほどの能力を見せている。

彼の魅力は、派手な数字以上に中盤の地力を上げる点にある。守備局面での回収力、球際での粘り、広い範囲を埋める走力があるため、前線のアタッカーをより高い位置に置きやすくなる。

ワールドカップでは、自分たちが押し込む時間だけでなく、押し込まれる時間をどうしのぐかが勝敗を左右する。佐野がいると、中盤の守備が前向きになり、セカンドボール争いの密度も上がる。テクニシャンを並べるだけでは出せない“試合の荒れ方への耐性”をもたらせるのが、彼のプラスαだ。