子育て中心? 引退後の生活
牛窪 私の書籍に沿った話でいうと、チームのメンバーが同じユニフォームやTシャツを着るのは「ユニフォーム効果」といって、まさにチームの結束を固める効果があります。
また、実は応援する「ファン」のほうも、選手と同じユニフォームを着ることで、チームや選手との一体化感情を得ることができます。これがいわゆる「チーム・アイデンティフィケーション(ID)効果(=拡張自己)」で、チームや選手と一体化したファンは、彼らが頑張る姿を見て「よし、自分も頑張ろう」などと自分を鼓舞し、幸福感を覚えることがあるんですよね。
そもそも他チームファンに比べて、阪神ファンは球場へと向かう時からユニフォームを着ている方が多い。それは原口さんもお感じになっていましたか?
原口 タイガースファンってどこの街に行っても、電車の中からユニフォームを着てるじゃないですか。あれはスゴイなって思いますね。タイガースを愛してるなって伝わります。
牛窪 また、阪神ファンといえば大歓声。あれは選手にどの程度届いてるものなんですか?
原口 ものすごく届いてます。2023年の優勝を決めた試合なんかは、「これが地鳴りのような応援か」と。僕が経験した中で一番スゴイ応援でした。
牛窪 あ、リーグ優勝を決めた、9月14日の甲子園ですね。9回表、マウンドに上がった岩崎(優)投手が、亡くなった横田(慎太郎)さんの登場曲『栄光の架橋』を流して登場した瞬間、ものすごい歓声と大合唱が鳴り響きました。
原口 流すことをまったく知らなかったので、僕もベンチで感動してましたよ。あの男はやりよりますね(笑)。ポーカーフェイスなのに粋なことをする。
牛窪 本当ですね。試合の最後の締めはもちろん、チームや球場全体をビシッとまとめあげてくれる。オフのときにも、岩崎投手は投手陣とよくお食事に行かれてるみたいですよね。
でも野球選手は、仕事と家庭の両立が大変だと思います。実は本書では「幸せの損益分岐点」についても取り上げています。ある研究によると、年収800万円以上を稼ぐようになると、幸福度は上がるどころか、むしろ下がるケースも明らかになってるんです。
お金を稼ぐうえで、家族やプライベートなどを犠牲にする可能性もあるからだと考えられるようですが、原口さんは以前、ご家族と仕事の兼ね合いはどうされていましたか?
原口 現役のときは仕事にだいぶ時間をとられてしまうので、オフシーズンに旅行へ行ったりして埋め合わせをしてました。引退してからは家にいる時間が一気に増えたので子供の学校行事に参加できますし、新鮮な生活を送ってますよ。
それを家族がどう思ってるのかはわからないですけど(笑)、子供たちは「暇だったら遊び行こう」と言ってくれます。
牛窪 また、今回の本でアンケートに協力してくれた「TORACO(阪神の女性ファン)」の皆さんは、59%が、「親の影響」で阪神ファンになったと答えていました。
私が番組(毎日放送「よんチャンTV」)でご一緒させて頂いている、能見(篤史)さんの娘さんは、野球部のマネージャーをされてるらしいのですが、まだ5歳という原口さんの娘さんは、現時点で野球や阪神タイガースに興味がある感じでしょうか?
原口 野球が好きとは聞いたことがないですね。現役時代は甲子園やSGL(2軍本拠地の日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎)にもよく来てくれてましたが。
去年はSGLで守備についてると観客席の上段で走り回ってる姿が見えて、「また迷惑をかけて……」とか思いながらサングラス越しに目で追ってました(笑)。
牛窪 お子さんたちは引退試合でも、原口さんに手を引かれて本当にかわいかった(笑)。それでは、原口さんの今後の活動予定などについてお聞かせください。
原口 野球以外の仕事もいろいろ挑戦させてもらう中で、タイガースのユニフォームを着てたことで影響力もありますし、闘病の経験を伝える仕事だったり挑戦を後押しできる社会貢献活動もしていきたいと思ってます。
牛窪 最後に、私の推しである森下選手、今年はいかがでしょうか?
原口 WBCで大きな刺激を受けて帰ってきて、とてもたくましい姿になってます。今シーズンもキャリアハイを残して、タイガースの連覇に大きく貢献してくれんじゃないでしょうか。
牛窪 良かった、ホッとしました。今日は本当にありがとうございました!
取材・文/集英社オンライン編集部













