金本監督のおかげで野球人生が動き出した
牛窪恵(以下、牛窪) 原口さんは2019年1月に大腸がんステージ3BであることをTwitter(現・X)で公表なさいました。また、「復帰して頑張ることが、自分の使命だと思う」ともコメントをされていました。あのときの「使命」には、どんな思いが込められていたのでしょうか。
原口文仁(以下、原口) プロ野球選手として、こういう大きな病気にかかることはあまりないと思うんです。まだまだ影響力がある現役選手である僕が頑張れば、同じ病気の人やご家族の方に勇気や元気を届けられるという気持ちから、あのツイートをしました。
牛窪 それにしても手術されてから復帰が早かった。
原口 早く戻って1軍の舞台で活躍することはひとつのモチベーションになっていたので、本当に順調にリハビリ過程をこなせました。
牛窪 ここ一番の場面に強いイメージのある原口さん。とくに印象的なのは2019年(6月4日ロッテ戦)、大腸がんから1軍復帰し、その初戦で放った代打タイムリーです。あの打席は泣きました……!
またその少し前、4月の2軍練習前の円陣で、原口さんは「人生を幸せに生きるコツは、小さな幸せを見つけること」だとおっしゃったとも伺ってます。本書のテーマともつながりますが、原口さんが考える「小さな幸せ」とは?
原口 手術直後は、今日はジョグができた、今日はジョグからダッシュができた。マシン打撃ができたと段階を踏めていくことや、球場に行ってみんなと一緒に野球ができるだけで幸せでした。
今だったらたとえば今日、天気が良くて桜がキレイだなと思いながら職場に向かったんですが、それも小さな幸せですよね。
牛窪 それはやっぱり大病を患ったから気づけたこと?
原口 もちろん。病気にならなくても気づけたら一番いいんでしょうけど。
牛窪 当たり前だと思ってることに感謝することって、すごく大事ですよね。本書でも感謝という情動がまた別の感謝を呼ぶ「情動伝染効果」として解説しています。人への感謝、天気への感謝、桜が咲いたことへの感謝。小さなことでも感謝された側はもちろん、実は感謝をした人のほうが、より強い幸福を実感できるという研究結果も出ているんです。
原口 へ~。
牛窪 阪神ファンでしたら阪神園芸さんやサンテレビさんへの感謝も忘れちゃいけませんね(笑)。
原口さんは、2015年のオフにも、当時新たに就任したばかりの金本(知憲)監督につきっきりで練習を見てもらったことについて、すごく感謝したとおっしゃってましたよね。
原口 (当時、育成選手契約で)来年も契約してもらえるかなという立場で甲子園で金本監督に見ていただいて、とてもいいバッティング練習ができたんです。それがあって翌年は1軍デビューできたりと野球人生が動き出したので、本当に感謝ですね。













