「選ばれる人」になってくださいね

これはもう何というか……。下手に人の助けを借りるようなことのないよう、自己責任で、「活力、意欲、能力」を最大化して、「選ばれる人」になってくださいね—そんな論理を打ち立て、競争を正当化したと言っても過言ではないでしょう。

誰それは報われるべき、誰それは努力が足りない、「能力」が足りない、と序列を明示し、その順にもらいが変われば、生きる糧・豊かな暮らしをしたいおよそすべての人々は、こぞって序列を上げるために、競うようにして頑張る。

統治側にとって、政治責任を追及されるでもなく、「自助」の前提で頑張り続ける国民が量産できるだなんて、最高すぎます。

「モラル・ハザード」ということばを用いるあたりも憎いです。あたかも今の国民は怠け者であるかのような性悪説的な人間観を提示し、この世は油断大敵、弱肉強食、競争なのだ、と絶えず吹聴する。不安感で人々の頭の中をいっぱいにさせておいたほうが都合のよい人たち……思い浮かぶ面々もいるかもしれません。

写真はイメージです 写真/Shutterstock
写真はイメージです 写真/Shutterstock

こうして「能力」というものは個人の中に眠っている前提で、その差が社会経済的な格差を生んでいるだけだから、頑張って「能力」の差を埋めてください、という礎がつくられたことが見て取れます。