わずか2年で終息してしまったブーム

その結果、早くヒットを狙った楽曲が量産されたために、発掘した音楽への「あこがれ」や、ルーツ・ミュージックから受け継ぐ「魂」、過剰な「自意識」と心の「純粋さ」、「反抗精神」からくる不良性など、イギリスのバンドたちの作品を根底で支えていた要素が薄まってしまった。

ビートルズやローリング・ストーンズの音楽が半世紀以上過ぎても、揺るがない前人未到の風景の中にいるのは、バンドにも音楽にも唯一無二のオリジナリティがあったからだ。

今でも絶大な人気を誇るビートルズ(写真/Shutterstock)
今でも絶大な人気を誇るビートルズ(写真/Shutterstock)

どちらのバンドも、最初の頃はカヴァー曲ばかりをやっていた時期があり、プロになって成功してからもそれを続けながら、バンドの中からソングライターが育って、音楽的に大きく成長した。

しかし、“学ぶよりもまず真似る”という日本の芸能界では、「カッコイイ」バンドのために、「カッコイイ」楽曲を作れる若者、若くて「センスのいい」ソングライターを見つける方向に進んだ。

その多くはバンドの内部からではなく、ジャズやシャンソン、クラシックなどの音楽をバックボーンに持っている外部の人たちだった。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
写真はイメージです(写真/Shutterstock)

作詞家でいえば、橋本淳、なかにし礼、山上路夫、安井かずみ。作曲家でいえば、すぎやまこういち、鈴木邦彦、筒美京平、井上忠夫、村井邦彦、加瀬邦彦といったフリーの作家たちが輩出された。

だから日本のグループサウンズがヒットさせた楽曲にはロック色が希薄で、新しい感覚の歌謡曲になっていったのは必然だった。そして短期間でマンネリ化したことから、ブームはわずか2年で終息してしまう。

そんな中で大きな可能性を秘めていたのが、1967年に登場してきたザ・テンプターズだった。