野菜ジュースは野菜の代わりにならない

野菜ジュースや青汁(以下、まとめて「野菜ジュース」)についても、100%ジュースと同様、そこまで研究されているわけではないです。しかし、「野菜の代わりに(野菜が足りていないから)野菜ジュースを飲む」ということの妥当性については注意が必要です。

そもそも野菜ジュースは飲み物で、食べ物である野菜の代わりにはなりません。これは非常に大事なことなので、ここで少し掘り下げて解説します。

「食事を変えると健康に影響する」という科学的事実がありますが、その意味とは「食べる内容の構成を変えると」色んな疾患発症リスクが変わる、ということです。

すごく単純化して例を出します。食事の構成が「肉50%、米40%、野菜10%」という人がいるとします。この方は、明らかに肉の割合が多く、野菜の摂取量が足りていません。この方の食事構成から、肉を20%減らし、代わりに野菜摂取量を20%増やすとします。「肉30%、米40%、野菜30%」ということです。

すると、食習慣変更前と比較して食事の健康効果は高まったと推察されます。これが食習慣改善の基本的な考え方です。この「それぞれの食材の割合をどう変えていくか」というのが本質なのです。だからこそ、単一の食材だけに注目しても、良い示唆が得られないのです。

さて、野菜ジュースは飲み物です。野菜ジュースを飲んだことで食事の割合はどう変わるでしょうか。たぶん、そのおかげで(食事としての)野菜の摂取量が増えるということは、普通ないのではないでしょうか。逆に野菜の摂取量が減ったとしても、それほどおかしくはありません。

しかし後者だとしたら本末転倒です。なぜなら、今までの研究が示してきたことは「食事として野菜を食べる量が多いほど健康に良い」ということだからです。食事としての野菜を多く摂取するとは、「野菜の摂取量を増やし、それ以外の(おそらく健康に悪い)食材の摂取量を減らす」という食行動を指します。「飲料」である野菜ジュースは、実際の野菜とは健康への影響が異なるのです。

野菜ジュースはあくまで飲料
野菜ジュースはあくまで飲料
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なお、野菜ジュースの健康効果自体を否定しているわけではありません。野菜ジュースの成分や作り方にもよります。本当にそれが野菜の成分に近ければ、健康に良い影響がある可能性はあります。野菜自体健康に良いわけなので、その抽出物が健康に良いというのは、栄養素の観点からも理屈は成り立ちます。「可能性」といったのは、それは科学的にまだ立証されていないからです。

例えば野菜ジュースでは食物繊維は野菜ほどは摂れないはずですし、多くの野菜ジュースには添加物が入ります。これら全部を踏まえて、本当に人間の健康にどう影響するかは、まだ十分には調べられてはいないということです。