お坊さんもお笑いも、手放したら楽になった
32歳のころ、親戚から紹介されたのが、九州のお寺だ。基礎はあるのだから、そこで推薦書を書いてもらい、専門僧堂に行って住職の資格を取ればいいと勧められたのだ。
「そのお坊さんは元警察官で、柔道の猛者。なんでそんな極端な(笑)。嫌な予感はしたんですけど、そこしかなくて」
到着すると早々、住職にこう言われた。
「君はお経も座禅も完璧にできているけど、足りないのは根性と体力だ」
そして毎日腕立て400回、うさぎ跳びなどの筋トレ、受け身の練習などを課された。どんなにきつくても3か月頑張れば、次の専門僧堂に進めると思って耐えていたが、ある日、「君は柔道がレベルに達していないから、黒帯を取るまで私が鍛える」と言われ、太郎さんは「プッツンと切れて」しまう。
その日の夜、荷物をまとめて逃げ出した。
実家に帰る途中、京都で下車。禅寺に行き、和尚さんに逃げたことを謝って、こう決意を告げた。
「お坊さんも、お笑いも、あきらめます」
それが、人生のターニングポイントになった。
「お坊さんも、お笑いも、自分の心の支えだったから手放せなかったけど、同時に重荷でもあった。だんだん、だんだん、重さの方が勝ってきて、九州のお寺の顛末もあって、なんでこんな目に遭うんだろうと感じた。
2つともやらないと言えたことで、心が軽くなったんです。楽になったというか。自分には何もなくなったけど、もう1回ゼロから新しいことを始められそうだなと思えたんです」
















