中高年層から若年層へのリーチを成功させた「エアー」

寝具を販売する西川株式会社は2017年に大谷と契約を結んだ。高校卒業後、日本ハムファイターズ入団時から同社の「エアー」を愛用していたためだ。大谷は最低でも1日10時間の睡眠をとり、睡眠の質の高さがパワーの源になっているとも言われている。

「最大のリカバリー」として睡眠に強いこだわりを持っている大谷(写真/西川プレスリリースより)
「最大のリカバリー」として睡眠に強いこだわりを持っている大谷(写真/西川プレスリリースより)
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西川は最新のデジタル計測器を用いて身体に最適な寝具を提供してきた。大谷は「僕が一番大事にしてきたもの、それが睡眠です。シーズン何に一番支えられてきたか、こういうエアーだったりとか、すごいお世話になったかと思います」とコメントした。

これまで二人三脚でブランドを育ててきた効果は絶大だ。西川によると、エアーの2025年の売上は、2017年の契約時と比較すると2倍に増加。いまだに売上は伸長し、大谷が愛用する「エアーSX」のマットレスのみの2025年の売上は前年比で30%も増えている。

「エアーSX」のマットレスは、レギュラータイプシングルで17万6000円(税込)、ダブルで24万2000円(税込)と高額だ。それでも購入する人が後を絶たない。

そして、ポイントとなるのが購入者の属性に変化が生じていることだ。プロモーションに起用する前は40歳以降の中高年層が中心だったが、起用後は20~30代が増えたという。さらに小さな子どもに購入するケースも少なくない。

「高校、大学を卒業後、将来的にプロのスポーツ選手になるような子どもたちも、『すでにエアーを愛用しています』と言ってくれる方が増えている印象があります。」(同社・広報担当)

西川の寝具のように高額な商品は、いかに顧客生涯価値を高めるかが勝負になる。「顧客生涯価値」とは、一人の顧客から生涯を通じて得られる利益だ。企業にとって理想的なのは、顧客が一度使ったら他の商品には乗り換えない状態を作ることだ。そして顧客は若ければ若いほどいい。

西川はもともとの製品力が高く、顧客生涯価値を高めるポテンシャルは持っていた。しかし、高額ゆえに中高年層が顧客の中心だったわけだ。大谷がブランド認知を広げたことにより、若年層にもリーチすることができた。

しかも、睡眠や休息を大切にするスポーツ選手予備軍ともなれば、使い慣れた寝具を別のブランドに切り替えるという選択肢は取りづらい。

スポーツ選手の予備軍からスターが誕生すれば、ブランド効果がまた増幅する未来すら見えてくる。