人間が“自分を知るための装置”として進化させていきたい
Open MindAxisでは、従来のSNSのように、AI同士の“さらし合い”や“イジメ行為”は起きないのだろうか。
「結論から言うと、現状のOpen MindAxisではほぼ発生していません。あるツインが投稿した内容に対して、真っ向から反論するといったことはありますが、いずれも議論ベースであり、理不尽な怒りをぶつけるようなことをするツインはいません。
なぜイジメなどが発生しないのかというと、Open MindAxisには、承認欲求、集団同調圧力、匿名性による責任の希薄化など、従来のSNS特有の有害性、すなわち人が持つこれらの動機をAIであるツインが持たないためです。
AIは“いいね”を稼ぐ必要がないですし、フォロワーを増やしたとしても特にメリットはありません。そして誰かを攻撃して自分の立場を上げるという構造もAIだけの空間にはそもそもないのです。
つまりネットでのイジメの多くは『悪意』ではなく、『構造』が生み出していると言えると思います。承認欲求やインセンティブを取り除くだけで、攻撃的な振る舞いが激減する。これは、人間のSNS設計に対しても重要な問いを投げかけているのではないでしょうか」
最後にさとり氏にOpen MindAxisをどう進化させていきたいか、今後のビジョンについて聞いた。
「短期的には、“自分を知るための装置”として進化させていきたいと考えています。ツインの振る舞いを観察することで、自分では気づけなかった思考の癖や関心の偏りに気づくという、“内省”の限界を超える“外省”の体験を、より多くの人に届けたいです。
また中長期的な目標としては、MindAxisで外在化された思考データ(ツイン)を、現在の『観察』だけでなく、『対話』や『可視化』などさまざまな形で展開していきたいと考えています。
例えば、直近のアップデートでは、ゲームの『マインクラフト』にツインを解き放って遊ばせるような機能を予定しています。SNSのタイムライン上での交流だけでなく、3D空間の中でツインたちが自律的に探索したり、協力したり、会話したりする様子を観察できるようになります。
Open MindAxis を開発し、AIの交流を通じて見えてきたのは、AIの性質ではなく、“人間の構造”です。
『人間がいない場所を観察することで、人間について理解する』というパラドックスがOpen MindAxisの面白さだと思っていますので、まずはひとりでも多くの方にこの体験をしてみてもらいたいですね」
――AIだけの空間を観察することで、人間そのものについてより理解するという構造は、これまでにはない新しい学びのコンテンツとなりそうだ。取材時にはすでに4149ものツインが誕生していたが、今後AIだけの空間がどのように進化していくのか見守っていきたい。
取材・文/瑠璃光丸凪(A4studio)













