甲子園球場で同じ推しのファン同士がLINE交換
さらに自己開示効果は、返報性の原理以外にも、ほかとの「合わせ技」が効く手法でもある。たとえば、もし相手が開示した嗜好や属性と、自身のそれが同じなら、「偶然(同じ)ですね!」と明かすことで、まるで「意味ある偶然の一致=シンクロニシティ」、すなわち「運命」かのように感じさせることもできるわけです。
実際に私も、甲子園で目撃しました。タイガースの中野拓夢選手のタオルを掲げて一人で応援しに来ていた女性(おそらく大学生)が途中、何かの目的で席を離れた。その数分後、中野選手は痛烈な二塁打を放ちました。
女性が戻ってくると、まず周りにいた阪神ファンのミドル男女が、「(いい瞬間が見られず)かわいそうに~」と同情し、スマホで野球中継の振り返り動画などを見せていました。
すると、斜め後ろに座っていた若い男性が、その盛り上がりに気づき、「偶然ですね!」と自身も中野選手のタオルを掲げ、同じように決定的シーンを見逃した(売店に行っていた)ことを明かしました。すぐに女性は笑顔になり、LINEのアカウントを交換したようでした。
その後、二人がどうなったかは知りません。ですが、彼女が中野選手のタオルを掲げていなければ、こうした交流は発生しなかったでしょう。そうした自己開示によって人脈を形成しやすくなることは、企業研修や異業種交流会などでも知られ、各々が胸に付けるネームタグに「出身地」や「趣味」、「好きな食べ物」などを併記するだけで、初対面の会話が充実し距離感が縮まる、ともいわれています。
また、もしあなたが誰かの上司なら、「私(僕)も昔は、こんなことをやっちゃって~」など自身の過去の失敗や経験を「開示」することで、部下も積極的に意見を言いやすい環境がつくられていく。そのことが、いわゆる「心理的安全性」の確保にも繋がる、とされているのです。皆さんも人脈形成や組織づくりの場などで、ぜひ活用してみてくださいね。
文/牛窪恵














