心は小5のまま体だけ大人になっていて衝撃
20歳のとき9年ぶりに外に出た。きっかけは、ゲームだった。そのころインターネットに接続できるゲーム機が発売され、オンラインゲームに熱中。ネット上の相手とはチャットでやりとりをしていたのだが、ケイさんは自分がひきこもりだとは言えず、フリーターだと称していた。
「例えば、『カラオケでバイトしてる』と言うと『どんなことするの?』と聞かれるけど、具体的には何も話せない。『大したことしてないよ』と逃げるけど、どんどん居心地が悪くなってきて、ウソにウソを重ねていくのがキツくなってくるんですね。
で、せめて自分が作り上げたフリーター像に追いつきたい。そのために、外へ出たいっていう気持ちが、ちょっとずつ湧いてきたんです」
だが、本当に大変だったのはそこからだ。外に出ようと決めて、初めて姿見鏡で全身を見たときのこと。
「ホント、衝撃的でした。心は小5のままなのに、体が大人になっていて、『誰だ、こいつは?』みたいな感じで。ビックリしましたね。名探偵コナン君と逆パターンです(笑)」
ずっと与えられたジャージやスエットで過ごしていたので、外に出るための洋服も靴もない。ケイさんが頼ったのは1人暮らしをしていた兄だ。お下がりをもらったが、スニーカーも自分1人で履けなかった。
「子どものときはベリベリって留める靴を履いてたんで、靴紐が結べなくて泣いたんです。誰かに見られるのが怖くて、深夜に散歩から始めました。1歩を踏み出したとき、コンクリートから跳ね返ってくる衝撃がすごくでかかったのが、新鮮でしたね」
実家から離れたほうがいいと言われ兄と一緒の部屋で同居したが、何もかもが初めてで最初は買い物すら怖かった。髪を切りに行ったときも、床屋の前で尻込みして帰ってきてしまい、家で泣きじゃくったという。
「電車も1人では乗ったことがないから、まず切符をどうやって買うのか、わからない。改札では、以前は駅員が鋏をチャンチャン鳴らして切符を切っていたのに、切符を通すと自動で出てきたので、『なんだ、これ?』って(笑)。兄に事細かに全部聞かないと不安で飛び込めなかったので、そのころは兄も相当負担だったと思いますね」













