「もしも我が家が…の巻」(ジャンプ・コミックス第39巻収録)

今回は、限りなくインチキくさい不動産屋の従業員、羽生(はにゅう)が、両さんと同僚の寺井を奇天烈な物件の数々に連れ回すお話をお届けする。

寺井洋一(てらい・よういち)は、キャラ立ちがすぎる派出所メンバーの中で唯一のふつメン枠。というか、なにごとにも慎重で心優しく、最大の関心事は妻とふたりの息子という、両さんとは対極にある存在だ。

そんな寺井の持ちネタは、理想のマイホーム探し。彼は家族と快適に暮らせる我が家を追い求め続けており、寺井の主役回といえばマイホーム探し! という印象を持っている古参読者も多い。

寺井の家探し話に欠かせないのが、今回フィーチャーする不動産屋のセールスマン・羽生。眼鏡と整髪料で固められた髪型、コールマン髭といったビジュアル、そして軽薄な物腰は、昭和前期~中期に活躍したボードビリアン、トニー谷をもとにしている。

この男、とにかく調子がよく物腰も低いのだが、言うこと成すことのすべてがひたすら「うそ、大げさ、まぎらわしい」。本作に先行する「ああ!マイホームの巻」(ジャンプ・コミックス第16巻収録)で初登場して以降、寺井に数々の怪しい物件を売りつけようとしている。

「住めば豪邸の巻」(ジャンプ・コミックス第50巻収録)「遠くて近き遠距離通勤!?の巻」(ジャンプ・コミックス第84巻収録)より、羽生おススメの珍物件
「住めば豪邸の巻」(ジャンプ・コミックス第50巻収録)「遠くて近き遠距離通勤!?の巻」(ジャンプ・コミックス第84巻収録)より、羽生おススメの珍物件

大原部長や麗子も寺井のマイホーム話のキーパーソンになったことがあるのだが、羽生の印象があまりに強すぎて、「寺井の家探し話=羽生が騙そうとする話」と捉えられているようだ。

なおこの男、意外な登場の仕方をしたことがある。拳法家であるマリアの父・麻里晩(あさと・ばん)に道場用地としてカナダの沼地を売りつけた「カナダ翻堕羅(ほんだら)拳法珍道中の巻(前編)」(ジャンプ・コミックス第68巻収録)。

中古自動車店員として、怪しい中古車を舌先三寸で売りつけようとした「跳ね馬(フェラーリ)、走る!の巻」(ジャンプ・コミックス第72巻収録)。

浅草で新築の分譲マンションの呼び込みをしていて、実家に帰郷していた両さんとバッタリ再会した「初めての仲人の巻」(ジャンプ・コミックス第162巻収録)。

気になる方は、これらのエピソードもぜひお読みになってみて欲しい。

それでは次のページから、寺井洋一の鉄板ネタ「マイホーム探し」に欠かせない男、ミスター無責任・羽生の口八丁手八丁の技前をお楽しみください!!