「レモンの逃亡の巻」(ジャンプ・コミックス第193巻収録)

今回は、超神田寿司を営む擬宝珠(ぎぼし)家の次女、レモンの誕生日をめぐる、ちょっと異色のお話をお届けする。

レモンは幼稚園児ながら時代劇鑑賞や将棋が大好きという、まるでおじいちゃんかおばあちゃんのような趣味の持ち主だ。

すぐれた味覚を持ち、未就学児にもかかわらず名店と呼ばれる家業では、「味のご意見番」を務めている。それゆえの責任感や大人びた性格と言動からか、いささかかわいげのない子どもに見えることもあった。

だが両さんと出会って以降、少しずつ幼さやかわいらしさを見せるようになり、それと同時に年相応の成長も見せるようになっていった。

そんなレモンだが、自分の誕生日が来るのを「うれしい」とは思っていなかった。しかし、幼稚園の帰りに出会った赤ちゃんとその姉との関わりをきっかけに……?

この先は野暮になるので、申し上げずにおく。しかし本作は、読後に心のどこかが温かくなるようなお話だ。ときにはこんな異色作を読んで、自分の誕生日の意味を考えてみるのもいいかもしれない。

『こち亀』はまごうことなきギャグ漫画だが、その中でレモンを主役に据えたお話は、子どもの迷いや成長を静かに見守る、作者の優しいまなざしを感じることが多い。あの両さんだって、レモンの前では「一番大好きで頼りになるおじさん」になるし、ずるいことや悪いことは(表だっては)していない。

それでは次のページから、レモンの誕生日の一日の出来事を、優しいおじさん、お父さん気分でお読みください!!