「活かす」「残す」「つなぐ」「育てる」という視点
たとえば、ある起業家は、子どもの教育費だけでなく、地域の子ども食堂やスポーツチームへの継続的な支援にも資金を投じています。また、ある創業家は、公益財団法人制度を活用しながら、次世代や地域への想いをかたちにし、創業者の意志を継承する仕組みを整えています。
一方で、「富が離れていく人」は、高級外車や時計、不動産に多額を投じるも維持できず、ギャンブルや浪費が重なり資金繰りに行き詰まるという人も多いです。そうしたケースでは、収入以上に使ってしまうという問題に加え、目先の満足を優先するようなフロー支出が目立つ傾向があります。
そして、自己投資といった「見えない資産」へのストック支出も、子どもへの教育費や社会貢献といった「活かす」「残す」「つなぐ」「育てる」という視点でのストック支出も、ほとんど見られません。
実は、多くの富裕層は成功を収めたあと、贅沢を楽しむ時期があります。高級車を買い、ブランド品を揃え、憧れの地をめぐる旅に出る。それは、努力への正当なご褒美だと思います。けれど、そうした消費の時期が長く続かない人ほど、結果として富を持続させています。
日々の選択が、「今の快楽」ではなく「未来の自分と誰か」のための支出につながります。「消えていくフロー支出」よりも「積み上がっていくストック支出」を選ぶこと。それを積み重ねていくことが、「見えない自分資産」を築き上げ、長期的な豊かさを得ている「本物の成功者たち」の共通点です。
富裕層の支出はタイパやコスパといった短期的な損得の計算を超えたところにあります。見えない自分資産を育てるという価値観が、長期的な富の持続につながっているのです。
今の快楽ではなく「未来の自分と誰か」のためにする支出を 写真/shutterstock 写真はイメージです
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億万長者になるお金の使い方 富裕層の領収書1000万枚見てきた税理士が教える
森田貴子
2025/10/31
1,760円(税込)
296ページ
ISBN: 978-4815630539
富裕層でいつづける人の領収書には、たくさんの共通点があった!
富裕層専門税理士である著者は、長年、富裕層の栄枯盛衰に伴走し、これまで1000万枚もの富裕層の領収書を見てきました。
そんななかで、あることに気が付きます。
――富裕層でいつづける人の領収書には、たくさんの共通点がある!
領収書は「何にお金を使っているのか」を教えてくれるだけではありません。
お金の使い方は、その人の価値観を面白いくらいに反映しています。
生活習慣やなにに投資しているか、優先していることも手に取るようにわかるのです。
そして、富裕層の多くは、なににお金を投じるか、一つひとつ真剣に考えることを積み重ねた結果、お金持ちになっている、と著者は言います。
そこで本書では、富裕層のなかでも、一代で事業を立ち上げ、ゼロから富を築いた「起業家富裕層」の領収書の共通点を探っていきます。
「どうせお金がないから真似できない」と嘆くのは早計です。
サラリーマンでも学びになる話を中心にまとめています。
お金持ちになる準備が整い、お金持ちに一歩近づくことができる、そんな一冊です。
はじめに 富裕層専門税理士という仕事
第1章 1000万枚の領収書からわかった「本物の成功法則」
第2章 富裕層の支出哲学を支える「思考と習慣」
第3章 「継続的に学ぶ人」ほど富が拡大する
第4章 「健やかな心と体」こそ最大の資本
第5章 「つながり」という財産が人生の質を決める
第6章 富裕層の「資産をつくる」お金の使い方
第7章 富裕層に学ぶフローの支出哲学
おわりに