富裕層に共通する「8つのストック支出」

富裕層の支出は、派手で華やかな消費ばかりに見えるかもしれません。けれど、その本質はむしろ、静かに続けている「ストック支出」にあります。

日々の暮らしの中で体験し、学び、人と出会い、健康を守る。そんな積み重ねの中で育っていくのが、「見えない自分資産」です。それは一朝一夕に築かれるものではありませんが、日々のお金の使い方に意識を向けることで、確実に積み上がっていく資産です。目には見えなくても、人生の選択肢や可能性を広げ、将来のあなたを支えてくれる「本当の財産」になるのです。

何にお金を使うのか?

それは、その人が何に価値を置いて生きているかを如実に表します。長年にわたりお客様と関わる中で、ある共通のパターンに気づきました。富が持続している富裕層のお金の使い方は、大きく次のような「8つのストック支出」に分かれているのです。

(1)価値ある体験
(2)継続的な学び
(3)体の健康
(4)心の健康
(5)家族
(6)つながり
(7)社会貢献
(8)投資

この8つのストック支出のすべてが「見えない資産」につながります。

8つの領域のうち何をより重視するかは、人によって、また、年齢やステージにより異なりますが、私が見てきた限り、どれかが「ゼロ」の人はいません。特にお手本としたい富裕層は、この8つすべてにきちんとお金を使っているという点が印象的です。

豊かであり続けている人ほど、この8つのどこかに必ず偏愛を持っていたりします。それは目立つ支出ではなく、静かに積み重ねられている支出です。そこに、自分の「好きなこと」「得意なこと」「関心があること」が表れます。

日々の支出にどんな傾向があるかを見つめ直すことで、自分が何を大切にしているのかが、ふと浮かび上がってくるのです。

まず、単なる消費ではなく、長い目で見て自分の糧となる「ストック支出」をする。こうした「お金の使い方」ならば真似できそうではありませんか。

「見えない資産」につながる8つのストック支出 (書籍より引用)
「見えない資産」につながる8つのストック支出 (書籍より引用)
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当然、日々の暮らしには、フロー支出がつきものです。富裕層の暮らしも例外ではありませんが、実は、富裕層はフロー支出にもこの8つの価値観を軸にお金を使っています。興味深いのは、「フロー支出であっても、目的や理由、意識次第でストック支出にしてしまう」ことです。

たとえば、スニーカーを買うとしましょう。「なんとなく安くて無難だから」という理由で買うと、ただのフロー支出。でも、「毎日のランニングで足腰を痛めないように」と目的を持って選んだなら、健康を守るための投資――つまり、ストック的な支出になります。

もちろん、ストック支出になるフロー支出ばかりではありませんが、このように、同じモノを買っても、そこにある理由や目的の違いで、「あとに何が残るか」は大きく変わるというわけです。