壁打ちと雑談の大きな違いは「問いかけ」
では、気軽に始められるという点で似ている「雑談」と壁打ちの違いは何でしょうか?
これはシンプルに、「イシュー」があるかどうかです。つまり、「解決すべき問い」の設定ですね。会議と違うのは、このイシューがゆるくていいということです。
「〇〇とは、結局なんなのだ?」
「なんのために〇〇をやっているんだっけ?」
「〇〇をどう進めていったらいいのか?」
そんな問いかけから、壁打ちは始まります。
テニスでは、最初にポーンとボールを上げて相手コートに打ち込むサーブからラリーは始まります。壁打ちにはこのサーブボールが必ずあるのに対し、雑談にはサーブがありません。ただ思うままに、話したいことを散漫に話してもOKというコミュニケーションが雑談なんですね。
これはこれで「幅広い話題を共有しながら放出・発散できる」という効果があるわけですが、壁打ちの場合は特定の問いに関連するモヤモヤを整理するのに役立ちます。
ちなみに先に挙げた3つの問いは、僕が壁打ちで使う典型的な問いのパターンなのですが、それぞれ「WHAT(定義)」「WHY(目的)」「HOW(方法)」についてのモヤモヤをスッキリさせる入り口になります。
「〇〇とは、結局なんなのだ?」=WHAT(定義)
「なんのために〇〇をやっているんだっけ?」=WHY(目的)
「〇〇をどう進めていったらいいのか?」=HOW(方法)
1on1は壁打ちよりも「個人的」なことがある
では、2人で行う面談、「1on1」との共通点と違いも明らかにしてみましょう。
共通点は、やはり1対1のコミュニケーション量を上げて、信頼関係を築く効果でしょう。「あなたのために30分の時間をとる」という設定そのものが、関係性を育みます。
では違いは何か、というと、イシュー=「解決すべき問い」の種類です。
壁打ちでは仕事上の課題などがイシューとなりますが、1on1ではしばしば「メンバー個人について」がテーマになることがあります。マネジメント側がメンバーを知り、解決すべきことを一緒に考え、ときには個人的な悩みやキャリアの相談を受ける。
壁打ちよりも深く互いを知ることができるコミュニケーションだと言えますが、仕事上での課題にフォーカスする場合には、壁打ちのほうがよりラフでスピーディであり、壁打ちを受ける側にも業務に関する知見が必要となってくるでしょう。
1on1は精神的に、壁打ちは実用的にチーム間のグルーヴを上げてくれるコミュニケーションとして僕は捉えています。僕の場合は1on1もかなりラフなコミュニケーションになるように心がけていますし、そうあるべきだと思っているので、1on1の中に壁打ち的な要素が入ってくることがあるイメージです。
会議の推進力と、雑談のラフさと、1on1の関係性構築力、これらすべてのいいとこどりができてしまうのが「壁打ち」なのです。
あらためて、すげーーー!!!と感動しています。












