韓国文化に触れる一環としての韓ドラ
昨今は定額動画配信サービスが充実し、誰もがいつでも、テレビやPC、スマホの画面で好きな動画を観られる時代になりました。読者の皆さんのなかにも、ドラマやアニメ、映画をテレビのリアルタイムのみならず、Amazonプライム・ビデオ(アマプラ)、Netflix(ネトフリ)、Hulu、Disney+といった定額動画配信サービスを登録して観ている方も多いのではないでしょうか。
私は、Z世代(1995年以降生まれの若年層)の研究メディア「Z総研」でトレンド分析を担当しながら、N.D.Promotionの取締役として、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングに関わっています。動画配信サービスにとって重要な視聴者であるZ世代はどんなコンテンツをどのように観ているのか、本稿では私が携わるZ総研ほかの各種調査やZ世代の「生の声」をもとに見ていきます。
まず、Z世代はどんな定額動画配信サービスを利用しているのでしょうか。
アプリ分析サービス「App Ape」による2022年7月の推計によると、10代と20代の定額動画配信サービスの月間利用者数上位3位はともに、①アマプラ、②TVer、③ネトフリの順でした。アマプラについては、Amazonプライムに登録することで動画を含む多分野のサービスの利用が可能となり、動画以外の目的の利用者も含まれるため人気が高いと考えられます。
一方で、同調査の50代の1位はTVer、2位はアマプラと順位が逆転しています。テレビ世代である50代には、テレビ番組の無料見逃し配信動画サービスであるTVerのほうがより多く利用されていると見られます。ただしTVerは無料のサービスであり、有料の月額サービスであるアマプラやネトフリよりも気軽に利用できる点も影響しているでしょう。
私がZ世代の当事者にヒアリングしたなかでは、アマプラは家族が会員登録していて利用する人が多く、ネトフリではコンテンツを観るために自身で契約している人が多い印象です。
人気の作品は、アマプラでは『HITOSHI MATSUMOTO presentsドキュメンタル』『ザ・マスクド・シンガー』といったバラエティ、また恋愛リアリティ番組『バチェラー・ジャパン』でした。
ネトフリでは韓国ドラマや映画・アニメの視聴者が多く、ネトフリオリジナル作品も人気です。韓国ドラマは物語の内容のみならず、出演女優のメイクやコスメ、服などファッションを真似するために観る人も少なくないようです。Z世代のとくに女性はK-POP好きが多く、韓国の文化全体に触れる一環として韓国ドラマを楽しんでいるのです。