自作の「マッスルハウスジム」で決意の再出発

自作の「マッスルハウスジム」を立ち上げ、合戸さんは決意の再出発を果たした。

日々のルーティーンとしては、早朝5時に起床し、サプリメントを摂取。朝6時から10時までトレーニングした後は朝昼兼用食を食べ、しばし屋外で日焼けした後、午後2時から再びトレーニングを開始。1日計8時間のトレーニングを終えた後、夜ご飯にささみ1本を食べて就寝するという、まさに筋肉の筋肉による筋肉のためだけの毎日を送った。

具体的にどんなトレーニングをこなしていたのか聞いてみたところ、

「自分のトレーニングはすべて、重たいものを一発で持ち上げる『マッスルトレーニング』です。嫁が補助に入り、ベンチプレスで180キロを一発であげてから10キロずつ落としていく。レスト1分とって、また限界にチャレンジする――の繰り返しで、一部位でトータル60セットをこなしていました」

そんなトレーニングの甲斐あって、ジムをオープンした半年後には中部日本選手権を制した合戸さん。当時の心境を聞いてみると、

「みんなからは『よくそんなトレーニングできるね』とか『精神力や根性がすごい』って言われましたが、自分としてはどんどん重さが扱えるようになって、楽しいからやってるだけでしたけどね」

と、すでに“狂気の男”としての片鱗が見え始めていた。しかし、本当の人生の“狂気”は、この先に待ち受けていた。

#後編「『生命線の瀬戸際を感じてこそ…』狂気の減量法、左目の失明、そして伝説へ」へつづく

2007年に全日本選手権で2度目の優勝を果たした合戸孝二さん(写真/本人提供)
2007年に全日本選手権で2度目の優勝を果たした合戸孝二さん(写真/本人提供)
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取材・文/木下未希