マスコミ不信をまねかないために
こうした事件発生直後のメディアスクラムで、マスコミ不信となってしまう被害者は本当に多いです。一方で、事件や事故を風化させたくない、忘れてほしくないので報道を続けてほしいと思っている被害者や遺族もたくさんいます。
久保さんもそのお一人ですし、池袋暴走事故のご遺族の松永さんも同様です。松永さんは、交通事故をどうしたら減らせるか、高齢者の運転の問題をどう解決していくべきか、うまく記者たちと付き合いながら発信し続け、事故から6年を経ても事件は全く風化しません。
久保さんも二度と同じような食中毒事件が起きないように、自分のような悲しみを味わう人がいないようにと、加害者の処分が決定した時や類似の事件が起きてしまった時などに折に触れて取材を受け、その思いを伝え続けています。
社会的な問題を追及することが使命であるメディアと被害者は、被害をなくすために、本来なら共に手を携えられる関係のはずです。代理人としても被害者が望み、被害者のためになるならばメディアへの協力は惜しみません。
メディアには、時に自分たちの取材がやり方によっては被害者に対する暴力になることを自覚し、改めてほしいと思います。また、できるならば、事件が起きた時だけワーッと取材して終わりではなく、被害者やその代理人としっかりした信頼関係を築き、長く継続的に取材をしていただきたいです。













