葬儀社や葬儀会場に片っ端から電話をして突き止める
こうしたメディアスクラムは今も、私が記者をしていた30年前とあまり変わりません。ただ最近は、東京の場合だと警視庁の犯罪被害者支援室が弁護士会に連絡をし、メディア対応をする弁護士の派遣を要請します。
それを受けて、弁護士が記者クラブに被害者の自宅には行かないよう、人が亡くなった事件であれば葬儀会場に取材に来ないよう要請し、可能な時は代わりにコメントを出すことなどを伝えるようになりました。
これで自宅などにマスコミが押し寄せることはかなり減ったと思いますが、大きな事件になると相変わらずメディアスクラムは生じています。
また、最近は新聞やテレビ、雑誌といった既存メディアが自粛しても、ご遺族の自宅住所が「○丁目」まで報じられることもあるため、ネットメディアや一部週刊誌、フリージャーナリストの中には、被害者の自宅の住所を調べあげてやってくる人もいます。
自宅付近の葬儀社や葬儀会場に片っ端から電話をして突き止めるらしく、葬儀の場にも姿を現します。結局、そういったメディアに負けられないということで、既存メディアも取材に向かいます。
自宅や葬儀に取材に来るメディアには、弁護士が直接会場付近に待機してお引き取りを願うのですが、「表現の自由」を盾に従ってくれない場合も多いと聞きます。突然の事件や事故によって大切な人を亡くした遺族は、誰にも邪魔されずに被害者と最後のお別れをすることを何よりも強く願っているのです。
よく記者の人に話すのですが、せめて葬儀が終わるまでは遺族への取材を控えることはできないでしょうか。もちろん報道の意義も認めるところですが、せいぜい数日の話です。大きな事件であれば、その本筋の取材だけで番組や紙面は埋められるはずです。













