「造反リスト」の怪文書が永田町に飛び交う事態に
執行部への不満がふつふつと高まる中、永田町では「自民党造反リスト」なるものが飛び交った。
現状では、野党がまとまらない限り、高市氏は首班指名選挙を経て、総理になる可能性が高い。しかし、その首班指名選挙で、野党候補に投票する自民党所属議員が現れるのではないかという憶測をもとにした怪文書だ。
不穏な空気が漂う中、高市氏は10月11日から13日の3連休、東京・赤坂の衆院議員宿舎から一歩も出なかった。「党幹部などとの連携は大丈夫なのか」と、危惧する声もあがった。
「官房長官に内定している木原稔元防衛相は密に連絡をとっている。ただ、党幹部の中には、高市氏が所属した松下政経塾の先輩で、もっとも近しい関係にあるとされる山田宏参院議員に『高市さんはどうしているのか?』と問い合わせる人もいる。人付き合いがあまり得意ではない高市氏に気を遣っているのでしょう」(自民党関係者)
毎日新聞の報道によれば、10月14日の両院議員懇談会で、高市氏は公明党の連立離脱について「私の不徳のいたすところだ」と反省を述べる場面もあったという。だが、近しい関係者は「高市さんの本音としては、公明党に土下座する気はないだろう」と見る。
「高市氏の周りでは、公明党の離脱にそれほど動揺しないほうがいいという強気の意見が少なくありません。むしろ、公明党にとらわれなくてもよくなったことを奇貨として、高市氏は腹を決めて、自分の経済政策や保守的なスタンスを貫くべきです。
まずは臨時国会で、国民民主や維新と連携しながら、物価高対策に迅速に取り組む。それを乗り越えたら、来年1月の通常国会の冒頭で解散総選挙に打って出て、議席を回復させる道も見えてきます」(高市氏周辺)
ただ高市氏の政治姿勢には党内でも警戒感がある。前出の衆院ベテラン議員は「過度に保守的なカラーに傾斜すれば、ついていけないという人も出てくるだろう」と指摘する。
前述の両院議員懇談会で、鈴木幹事長からは国民民主党や日本維新の会と連携を目指す方針が示された。ただ、「高市氏の周囲には政局を回せる人がいない」(前出・重要閣僚経験者)との懸念もつきまとう。
維新は総裁選期間中「進次郎総理」を見越し、自民党との交渉を進めていたが、高市氏の総裁就任で振り出しに戻った経緯がある。「旧安倍派ながら幹事長代行に登用された萩生田光一氏が、野党人脈が豊富な御法川信英氏の力を借りながらやりなおすしかないのではないか」(前出・ベテラン衆院議員)との見方も浮上する。
臨時国会は10月21日に招集される見込みだ。不透明な先行きに、自民党幹部の一人は「なるようにしかならない」とつぶやいた。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班