日常にひそんでいる多くのナッジとは? トイレの便器からレジ前の床の矢印まで

ナッジといえば、有名なものにアムステルダムのスキポール空港の男性トイレがあります。ここの小便器には小さなハエの絵が描かれています。

こうすると利用者はおのずとそのハエめがけて用を足すようになるため、トイレが汚れず、掃除の手間が省ける。この男性の奇妙な習性を活かしたアイデアによって、年間清掃費は8割も減ったそうです。「トイレは清潔に」などと貼り紙を出すよりも、はるかに効果的でしょう。

また、お店のレジ前の床に、順にお並びくださいという呼びかけを示す足跡のステッカーを見かけることがあります。これもナッジです。

新型コロナウイルスの感染が広まってからは、対策のためのさまざまなナッジが見られるようになりました。銀行のロビーなどでは、ソーシャルディスタンスを確保するために、三人掛けソファの中央にマスコットのぬいぐるみを置いている例が見られました。

そのほか、公共施設でもアルコール消毒液の設置場所を矢印マークで表示したり、非接触式検温カメラの手前に足跡のステッカーを貼ったりするなど、新型コロナウイルスという厄災は、私たちの日常空間にナッジ活用を一気に広めることになりました。

ナッジによって私たちは無意識のうちに動かされている
ナッジによって私たちは無意識のうちに動かされている