「デフォルト」という手段で臓器提供の同意率がアップ
人は選択肢が多いと迷ってしまって選べなくなります。私たちは情報量が多いのが苦手です。だから、多くの情報を前にして面倒になると、自動的にヒューリスティックを稼働させて手短に処理しようとします。
しかし面倒だからといって、何でもかんでもばっさり切り捨てられていては、社会にとって不都合なこともあります。そこで、そうされないようにする有効な手段が「デフォルト」、すなわち、特定の選択肢をあらかじめ設定しておき、利用者がNOを選ばなければそのまま実行されるというやり方です。
その代表例として知られるのが臓器提供の意思表示です。提供してもよいという人が意思表示する方式(オプトイン)の国では同意率が低いのが現状ですが、提供したくない人がそれを意思表示する方式(オプトアウト)の国では100%に近い同意率になっており、両者にたいへん顕著な違いがみられます。
またネット通販などでは、購入するときにそのままだとメールマガジン登録となり、不要であればチェックを外すというケースがあります。こうした違いが意思決定に大きな差となって表れるのです。